概要
この記事では、iPhone16(Plus/Pro/Pro Max含む)シリーズにおいて対応しているBluetoothコーデックについて紹介しています。
Bluetoothコーデックとは
Bluetoothコーデックとは、Bluetooth通信を介してデバイス間で音声データを圧縮・解凍するための規格です。音声データを効率よく伝送するために、元の音楽データを圧縮し、その圧縮されたデータを受信側で再び展開(デコード)する際のルールを定めたものです。
Bluetoothコーデックの役割
Bluetoothは無線技術であり、ケーブル接続と比べて帯域(通信できるデータ量)が限られています。そのため、音声データをそのまま送信すると、音質が低下する可能性があるか、データ量が多くて途切れやすくなります。Bluetoothコーデックは、音声データを圧縮してデータ量を削減し、帯域幅に収まるようにします。コーデックの種類によって、圧縮率や音質が異なり、それが最終的な音質や遅延に影響を与えます。
代表的なBluetoothコーデック
- SBC(Subband Codec)
- 概要: すべてのBluetoothデバイスが最低限サポートする標準的なコーデックです。
- 音質: 一般的に音質は他のコーデックよりも低いとされますが、安定して動作します。
- 遅延: 遅延が発生しやすいが、互換性は最も高い。
- AAC(Advanced Audio Codec)
- 概要: 主にAppleのデバイスやiPhoneで利用されるコーデック。
- 音質: 音質は良好ですが、Androidデバイスではパフォーマンスが落ちる場合があります。
- 遅延: SBCよりも遅延が少なく、音楽鑑賞には適しています。
- aptX
- 概要: Qualcommが開発したコーデックで、高音質と低遅延を両立します。
- 音質: SBCよりも高音質で、CD音質に近いとされています。
- 遅延: 低遅延のバージョンである「aptX Low Latency」も存在し、ゲームや動画視聴に適しています。
- aptX HD
- 概要: aptXの高音質版で、24bit/48kHzの音声データを伝送できるように設計されています。
- 音質: ハイレゾ音質に対応し、よりクリアなサウンドを提供します。
- LDAC
- 概要: ソニーが開発したコーデックで、ハイレゾ音質をサポートします。
- 音質: 最大990 kbpsのビットレートで、非常に高音質です。
- 遅延: 通信環境に依存するため、遅延や音質が変動することがありますが、理論的には非常に優れたコーデックです。
- LC3(Low Complexity Communication Codec)
- 概要: 最新のBluetooth 5.2で導入されたコーデックで、Bluetooth LE Audioに対応しています。
- 音質: SBCよりも効率的で、同じビットレートでより高音質を提供します。
- 遅延: 低遅延で、省電力性能にも優れています。
iPhone16シリーズはどのコーデックに対応している?
基礎コーデックであるSBCを除けば長らくAACのみの対応となっているiPhoneシリーズですが、
今回は新しいコーデックに対応しているのでしょうか。
Apple公式ページではこのように表記されています。
オーディオ再生
apple.com
- AAC、APAC、MP3、Apple Lossless、FLAC、ドルビーデジタル、ドルビーデジタルプラス、ドルビーアトモスなどのフォーマットに対応
- 空間オーディオ再生
- ユーザーによる設定が可能な最大音量制限
残念ながら、今回もLDAC等の高音質コーデックには非対応のようです。
現状、ワイヤレスイヤホン・ヘッドホンに対応しているコーデックはこれまで通り『SBC』『AAC』のみの対応となっています。
因みに、APAC(Apple Positional Audio Codec)は今回新しく対応した新しい空間オーディオコーデックです。
おすすめのワイヤレスイヤホン・ワイヤレスヘッドホンについて
これまで通り現状最も高音質コーデックと言えるAACコーデックに対応したワイヤレスイヤホン・ヘッドホンがおすすめです。
また、iPhone16シリーズにおける「空間オーディオ機能付きビデオ」等、機能やデバイス間との親和性を最大限に活かすのであれば『Apple H2』チップを搭載したワイヤレスイヤホン・ヘッドホンがおすすめです。
H2チップとは
AppleのH2チップは、主にAirPods Pro(第2世代)やAirPods 4に搭載されている次世代のカスタムオーディオプロセッサで、前世代のH1チップと比較して、音質、ノイズキャンセリング、空間オーディオなどを大幅に強化しています。H2チップは、Appleが提供する最先端のオーディオ体験を支える中心的な技術となっています。
Apple H2チップの主な特徴
- 高度なアクティブノイズキャンセリング(ANC): 前世代のH1チップよりも2倍のノイズ除去性能を実現。
- 空間オーディオの強化: 個々の耳の形に合わせたパーソナライズされた空間オーディオとヘッドトラッキングに対応。
- 音質の向上: より豊かでクリアな音質を提供。
- バッテリー効率: 電力管理の最適化により、長時間の使用が可能。
- 低遅延処理: ゲームや映画視聴時に音声の遅延を最小限に抑える。
最新のiPhoneで高音質コーデックに対応させるアイテムについて
iPhone自体の対応コーデックは現状SBC、AACのみですが、iPhone15シリーズ以降のUSB-Cポートに対応したiPhoneであればお手軽にLDACやaptXadaptive等の高音質コーデックに対応させる事が可能な待望のアイテムが登場しました。
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