概要
今回はQCYより新しく発売されたワイヤレスヘッドホン『QCY H3 Pro』をレビューしていきます。
提供:QCY
恐らく以前発売された『QCY H3』の上位モデルにあたる機種だろうと思います。
H3の時点で機能的には全部入りなコスパワイヤレスヘッドホンでしたが、どんな進化を遂げているのでしょうか。
レビュー動画
主な特徴
有線/無線対応・ハイレゾ再生
- Hi-Res Audio および Hi-Res Wireless Audio 認証取得。
- 最大 40kHz の高周波帯域幅で高解像度音楽再生が可能。
- LDAC対応(※利用にはLDAC対応端末が必要。iPhone非対応)。
最大50dBのノイズ低減
- 「ハイブリッド式ノイズキャンセリング」技術により、周囲の雑音を低減。
- 飛行機・地下鉄・バスなどでも静寂と音楽だけの環境を実現。
高音質の40mmダイナミックドライバー
- Bluetooth標準コーデックの約3倍の情報量を伝送可能。
- ハイレゾ音源のクリアで繊細なサウンドを再現。
快適な装着感
- 柔らかいヘッドパッドと肌触りの良いイヤーパッドを採用。
- 長時間のリスニングでも快適な着け心地。
マルチポイント接続
- 2台のBluetoothデバイスに同時接続が可能。
- スマホからタブレットやPCへの切り替えが簡単。
長時間バッテリー
- 最大55時間 の連続音楽再生が可能(ANCオフ時)。
- ANCオン時でも40時間 の連続再生を実現。
- 550mAh の大容量バッテリー搭載。
スペック・製品仕様
以下にQCY H3 ProとQCY H3のスペック比較表を作成しました。
項目 | QCY H3 Pro | QCY H3 |
---|---|---|
本体寸法 | 145.0×80.0×183.0mm | 160.2×81.7×196.8mm |
本体重量 | 約231g | 約260g |
搭載ドライバー | 40mmダイナミックドライバー | 40mmダイナミックドライバー |
バッテリー使用時間 | ANCオフ:約55時間 ANCオン:約40時間 | ANCオフ:約70時間 ANCオン:約60時間 |
バッテリー容量 | 550mAh | 500mAh |
充電時間 | 約2時間 | 約2時間 |
充電ポート | Type-C | Type-C |
Bluetoothバージョン | 5.4 | 5.3 |
通信距離 | 10メートル | 10メートル |
対応オーディオコーデック | LDAC/SBC/AAC | SBC/AAC |
防水規格 | 防水仕様ではない | 防水仕様ではない |
アクティブノイズキャンセリング | 〇(最大50dB) 有線接続時:〇 | 〇(最大43dB) 有線接続時:× |
マルチポイント | 〇 | 〇 |
ゲームモード | 〇 | 〇 |
空間オーディオ | 〇 | × |
通常価格(税込) | 7990円 | 6990円 |
内容物
- ヘッドホン本体
- 充電ケーブル(USB A to C)
- 有線接続用オーディオケーブル(3.5mm)
- 説明書
外観
電源ボタン、ボリュームボタン、有線接続用ジャック、充電ポート、ANCボタンは全て右側ハウジングに集約。各ボタンは物理ボタン式。
イヤーパッド、ヘッドバンドは恐らくウレタン製。
柔らかく肌触りが良く低反発。
折り畳み可能でここまでコンパクトに。内向きに約90度回転も可能。
スライダーはここまで引き出し可能。10段階で目盛りが付いているので調整しやすい。
写真だとわかりにくいが前モデルより1周りコンパクトになった。
マットブラック単色の配色からメタリックカラーを採用し、リッチ感が増している印象。
専用アプリについて
ステータスタブ
充電残量の確認が可能。
サウンドタブ
イコライザーやノイキャンモードの選択が可能。
他のブランドではあまり見かけないオーディオバランス機能もあるので安心感がある。
設定タブ
コントロールカスタマイズやヘッドホン探索、LDAC、マルチポイント、ゲームモード切替等詳細設定やモード切替が可能。
ANCは「アダプティブ」「騒がしい」「通勤」の3種類から環境に合わせて選択可能。
また、初見では非常にわかりにくいが「騒がしい」「通勤」については強度を3段階で選択可能。
ヘッドホン探索機能は音を鳴らすだけじゃなくGoogleマップを用いた位置表示ができるのがQCYの強み。
その他電源OFFタイマーや接続解除後の自動電源OFF機能なんかもあるので自分の生活環境に合わせて使いやすくカスタマイズ可能。
使用した感想
装着感について
厚めのイヤーパッドにより緩和され圧迫感は少なく、しっかりホールドされる。
前作H3よりも30g程軽く、軽やかな装着感で長時間着用しても疲れにくい。
音質について
AndroidにてLDACで使用した感想です。
どこかの帯域が強調されている、という事も無く高域から低域からフラットにバランス良く綺麗に鳴らす。ドンシャリ傾向で低域に関してはややウォーミーな感じがあった前作とは異なり、今作はモニターライクとも言って良い非常に鮮明かつ整ったバランスで優等生といった印象。
面白いのはANCを適用すると低音が増強され、ズンと響くタイプの低音になる事。わずかに音質傾向が変わる事は多々あるがここまで変わるのも珍しい。音質劣化は感じないが低域増強のイコライザーを適用したような感じ。ANCをONにして更に低域増強イコライザーを適用すると最早重低音モデルと言っても過言ではない低音が楽しめる。重低音好きな人はANCオン+イコライザーで低域増強すると気持ち良くなれます。
もちろんANC状態でもモニター系の音が好きならANC+イコライザーで調整すればデフォルトのようなバランスに戻す事も可能。
有線接続時もANCオフ時の音質傾向同様バランス良く鮮明でモニター系の音だと感じました。
付属ケーブル、Android直差し時
(有線接続時の音質は使用するケーブルやデバイスによって異なりますのでご留意ください)
主な機能について
ANCについて
前作同様めちゃくちゃ強い、と言う訳では無いが、雑音がある環境でも音楽や動画に没入するのには十分な効力かなと感じる。効力自体は前作から劇的に変わった、という印象は無いが、適用時のノイズや違和感は全く無く質、静寂さは上がっている印象を受けた。低周波に強く、高周波はやや苦手な印象。
外音取込は装着していない状態にかなり近い形で取り込んでくれる。
マルチポイントについて
Android2台に同時接続して試してみた。
切替のレスポンスは約2秒強~3秒程と個人的な肌感としては最近の標準と比べてわずかに遅い印象。
しかし、先発音声再生中に後発音声を割り込める優秀タイプのマルチポイント。
LDACとマルチポイントの併用は不可。
ゲームモードについて
遅延テスト動画にてオンとオフで比べてみた。
OFFの状態でもかなりの低遅延で、動画を観ても遅延は感じず、カジュアルなゲームも問題無く遊べるレベル。ONにする事でより遅延は無くなっていると思われるが正直肉眼ではほぼ区別がつかないレベル。ONの状態なら余程シビアでなければ格ゲーやFPSも普通にできそう。
空間オーディオについて
反響するような広がりのある音響になるので音楽で適用するとやや違和感を感じるが、映画との相性が非常に良く、映画館で観ているようなかなり臨場感のある空間を楽しむ事ができた。
良かった点・気になった点
良かった点
- 軽くてしっかりホールドされる装着感の良さ
- モニターライクでバランスの良い音から重低音モデルのような音まで幅広く楽しめる
- 有線接続時もノイキャン、外音取込対応
気になった点
- LDAC自動接続時、音声が不安定になりがち
- LDACで自動接続した際、何故か音声が波打ったり、2重に聞こえるような不具合が発生する頻度が高い。他のコーデックに切り替えるか一度LDACを解除してアプリから再度LDACを適用すると治る。複数のAndroid端末に接続して試したが全てで発生したのでヘッドホン側に問題がありそう。たまたま不良個体なのか全ての個体で発生する不具合かは不明。ファームウェアアップデートで治りそうな気もするがどうだろう。一応メーカーに報告はしたのでもしかしたらファームウェアアップデートがあるかもしれない。
- コーデック・空間オーディオ切替がスムーズさに欠ける
- LDAC適用/解除時、空間オーディオを適用/解除する際に必ず再起動が行われる仕様なのでややシームレスさに欠ける。
総評
前作H3の時点でかなりのコスパでしたが、小型軽量化、LDAC対応、有線接続時のノイキャン対応、空間オーディオ新搭載とかなりパワーアップし、通常価格は前モデルから+1000円とコストパフォーマンスに更に拍車がかかり、現在の1万円未満ワイヤレスヘッドホンでトップクラスを争うコスパの良さではないかと思います。特に、1万円未満では対応しているモデルが少ないLDACや空間オーディオ、有線接続時のノイキャン等に対応しているのはかなりの強みかと思います。
音質も癖が無くバランスの良い優等生で、その上重低音モデルにも化ける万人におすすめできるワイヤレスヘッドホンです。
ただ、LDAC自動接続時の不具合だけ懸念点です。全く使えない訳ではないのですがやや煩わしさは感じます。ただ不良個体だっただけなら良いのですが。もし同様の症状が発生した場合はコーデックの切替かアプリから再度LDACをOFFONしてみてください。また、ファームウェアアップデートが配信されている場合もあるので購入された際は確認してみてください。
- 小型軽量のヘッドホンを探している方
- 1万円未満で全部入りのワイヤレスヘッドホンをお探しの方
におすすめです。