概要
今回はHAYLOU(ハイロー)より発売のワイヤレスヘッドホンS30をレビューしていきます。
↓動画版レビューはこちら
提供:HAYLOU
HAYLOU(ハイロー)とは?
HAYLOUは、2015年に設立されたLiesheng Electronicの自社ブランドです。同社は、中国の大手企業XIAOMIやその他の企業からの開発・生産受託を通じて急成長を遂げ、2017年にHAYLOUブランドを正式に発表しました。
製品の主な特徴
製品概要
⚫️最大-43dBアクティブノイズキャンセリング
ハイブリッドANCテクノロジーにより、最大43dBの騒音をブロックします。高音から低音に渡り効果的に作動するため、電車内やカフェ、オフィス、歩道など静けさとともに音楽を楽しむことが可能です。⚫️一時的に外の音に集中できる「会話モード」
右側イヤーパッドをタッチしている間、会話モードが有効になります。再生中の音楽の音量を一気に下げて、マイクで外音を取り込みます。ヘッドホンを外すことなく周囲の音が強調されて聞こえるため、ちょっとした会話やアナウンスを聞く際に便利です。買い物のレジ、電車やバスのアナウンス、カフェなどでの注文などヘッドホンを外す手間がありません。⚫️80時間使用の超ロングバッテリー
600mAhのバッテリーを搭載。最大80時間(ANCモード使用時 約50時間)の使用が可能です。充電はUSB-Cポートで可能です。⚫️大口径40mmダイナミックドライバー、ハイレゾ対応
40mmの大口径ダイナミックドライバーが、高音・中音・低音域すべてにおいてリアルな解像感を実現。広がりと迫力のあるHi-Resサウンドにも対応します。※ハイレゾ再生は有線接続が必要です。
⚫️その他の特徴
・ソフトなイヤーパッド、快適なフィット感・持ち運びに便利な折りたたみ式
・クリアな声を届ける通話ノイズ除去「ENC機能」
・0.06sの低遅延モード、スムーズなゲーム体験を提供
・アプリで手軽なカスタマイズ
・同時2台接続が可能なマルチポイント対応
出典:haylou-japan.jp
スペック・製品仕様
・製品名:Haylou S30 ノイズキャンセリング・ハイレゾヘッドホン
・販売価格:8,900円(税込)
・カラーバリエーション:ブラック、ホワイト
・マルチポイント:2台
・Bluetoothバージョン:5.4
・Bluetooth操作範囲:10メートル
・周波数:20Hz~20kHz
・対応プロトコル:HFP/A2DP/AVRCP
・対応コーデック:SBC/AAC
・バッテリー容量:600mAh(リチウムイオンポリマー)
・充電時間:2.5時間
・充電ポート:USB-C
・最大連続再生時間:80時間(ANCモードOFF)、50時間(ANCモードON)
・低遅延モード:60ms
・ハイレゾ:対応
出典:haylou-japan.jp
内容物
付属品は
- ヘッドホン本体
- 充電ケーブル
- 有線接続用オーディオケーブル
- 外部マイク
- 説明書類
以上になります。
※本製品は付属品の違いによっていくつか種類があり、今回レビューしているのは外部マイクが付属しているバージョンになりますが、国内で流通している物は外部マイクが付属していないバージョンになりますのでご注意ください。
外部マイクが付属している物はAliExpress等で購入する事ができます。
外観
形式は耳を覆う形のオーバーイヤー型ヘッドホン。
外装はマット仕上げでカラーリングも統一されており、落ち着いた印象を受けます。
ハウジングにはブランドロゴの一部「HAY」の文字が。
ロゴ自体がシンプルなのでデザインにも工夫を感じます。
また、S30は物理ボタンの操作だけでなくハウジングのタッチ操作にも対応しています。
ハウジングタッチによるコントロールはミドルクラスからハイエンドクラスに多くみられる機能で、
1万円未満のエントリークラス帯は物理ボタンのみ、という物が殆どなのでこの価格帯での搭載は珍しいです。
約90度ロール、折り畳みにも対応しており携帯性も高いです。
物理ボタンはANC、ボリュームボタン、電源ボタンの3つ。
その他有線接続用のステレオミニジャック、充電用USB-Cポート、外部マイク接続用ジャック。
全て右側ハウジングに集約されています。
付属の外部マイクを接続するとこんな感じ。(※国内流通品は付属していません)
内部マイクでも通話は可能ですが、外部マイクを接続することでより声を拾うので主にゲームボイスチャット等の用途で使用しやすくなります。
また、ここも注目ポイントで、イヤーパッド及びヘッドバンドにはレザーが採用されています。
コストの関係でエントリー帯ではウレタン素材が採用される事が多いですが、レザー素材なのでウレタンに比べ遮音性や耐久性の面でウレタンよりも期待できます。
見た目の質感や肌触りも高級感があります。
スライダーはここまで引き出し可能。特に目盛り等はありませんがクリック感で固定するタイプ。
専用アプリについて
物理ボタンやタッチ操作でも切替可能ですが、アプリからもモード切替が可能。
その他イコライザー、ヘッドホンの探索機能等が使用可能。
イコライザーにカスタムイコライザーは無くプリセットのみ。
ヘッドホン探索機能はアプリと接続されていればヘッドホンから音を鳴らす事ができます。
イヤホンに比べ紛失しにくいので本製品での恩恵は薄いかもしれません。
チルタイムや入眠サポート等に使えるホワイトノイズ機能もあります。
アプリはリリースされてから間もないようで、機能自体は現状少し寂しい気もします。
今後アップデートで追加されるかもしれませんね。
使用した感想
装着した見た目・装着感
他ブランド同価格帯のワイヤレスヘッドホンと外装の素材自体は大体同じものを使用しているはずなのにS30はカラーリングが統一されているからか、細かいビルドクオリティ、デザインの差なのかははっきりとはわかりませんがとても高級感がありエントリークラスのヘッドホンに見えません。
公式ページの説明で『絶妙な側圧』と謳っている通り、きつすぎず、しっかりホールドしてくれる本当に絶妙な側圧です。厚めのレザー採用イヤーパッドもかなり良い仕事をしていて、装着感は文句無しに最高です。
手に持った時は少しずっしり感を感じましたが、全体にしっかりフィットする為重さは感じにくく気になりませんでした。
音質について
AndroidにてAAC接続で使用した感想です。
音質には度肝を抜かれました。
正直イヤホンやヘッドホンを沢山レビューしていると、このブランド、価格帯でこのスペックなら大体こんな音かなとある程度見当が付き、それを上回る事はそこまで多くないのですが、
想像を遥かに上回る音の良さでした。忖度無しに今までレビューしてきた同価格帯のワイヤレスヘッドホンで一番音が良いと思います。音質だけで言うならメジャーブランドのフラッグシップモデル並みに良いと感じました。
高域から低域まで全体のバランスは良く、とても緻密でシャキッとしているのに刺さらない耳当たりの良い寒色サウンドです。低域もこの価格帯ながら量感や強さで茶を濁さず、深さを感じる質の高い低音に感じます。全体の見通しは良くクリアで、分離感もあります。サウンドステージは広め。
最近のデジタルサウンドにはめちゃめちゃ合うチューニングだと思いました。
・有線接続時の音質について
付属のオーディオケーブルにてAndroidに接続して使用。
音のバランスや傾向自体はワイヤレスの時と大きくは変わりませんが、
ワイヤレスの時より薄い膜が一枚かかったような印象を受けました。
個人的にはワイヤレスの方が音は良いと思いました。
有線接続の場合はケーブルや接続端末の品質によって大きく音質が変わるので、
もし微妙な場合はケーブルをより良いものに変えてみると良いかもしれません。
機能について
・ANCについて
ANC搭載ヘッドホンとして売り出していますが、正直効力はかなり弱いです。
ANCと通常モードを比較しても効力はほぼ感じられませんでした。
音質は素晴らしいのでノイキャンはおまけ程度に考えておくのが良いでしょう。
外音取込はややホワイトノイズが気になりますが、役割は十分果たしてくれる性能だと思います。
・マルチポイントについて
Android2台に同時接続して試してみました。
先発デバイス再生中に後発デバイスを割り込めないタイプでしたが、切替レスポンスはかなり早く、先発デバイスを停止するとほぼタイムラグなく一瞬で切り替わりました。
・会話モードについて
外音取込機能とは別に、ハウジングをタップしている間音楽の音量を下げ外音を取り込んでくれる会話モード。いちいち物理ボタンでモードを切り替える事無くタップするだけで外音を聴けるので利便性はかなり高い。また、「タップしている間だけ」という仕様が良く、聴きたいところだけ終わったら指を離してすぐに音楽に戻れる点が良いです。
・ゲームモードについて
遅延テストアプリで確認してみました。(ワイヤレス接続時)
ゲームモードOFFでも0.2秒程と許容範囲内ですが、
ONにする事で0.05秒程とかなりの低遅延になりました。大体のゲームは支障なくできそうです。
気になった点
・ANCの強度
ANC搭載ヘッドホンと謳っていますが、それにしては効力が低いかなと感じました。
正直ANCと通常モードはほぼ変わりません。何ならマイクを活かして無い分通常モードの方が静音なんじゃないかと思った程です。音質は本当に素晴らしいので、あくまでANC無しのヘッドホンとして割り切って使った方が良いと思います。
・モード切替音がわかりずらい
多くのブランドはモード切替時に「〇〇モード」のような音声ガイダンスが流れますが、HAYLOUは現在ボイスを採用していないようで、効果音のみでモード切替を表現しています。効果音も明確に違う種類の音ならまだ良いのですが、どれも似たような音なので自分が今どのモードを使っているのかわからなくなる時があります。ANCの効力が弱い事もあり通常モードとANCモードは特にわかりにくいです。
・アプリ機能の充実度は低め
アプリがリリースされて間もないという事もあるでしょうが、コントロールカスタマイズ不可、現状イコライザーも数種類のプリセットのみと、最近の他ブランドのアプリ機能の充実度と比較すると物足りなく感じます。アプリのUIを観ても余白が多く今後追加されていきそうな雰囲気もあるので、今後に期待です。
総評
正直完全に予想外というか、ダークホースでした。
1万円未満とは到底思えないハイエンドクラス並みの圧倒的な音質、装着感、品質の高さ。
この価格帯ではまず搭載されないタップコントロール機能。
HAYLOU自体は存じ上げていましたがまさかここまでとは。
一方ノイキャン搭載とは言うものの効力は低く、アプリ機能も現状は少し寂しい状態なので、
「音質特化のノイキャン無しワイヤレスヘッドホン」として割り切って使うのが良いでしょう。
外音取込やマルチポイントは普通に使えますし、ゲームモード、会話モードも搭載されているのでノイキャンさえ気にしなければ機能性も十分です。
今までレビューしてきた1万未満のワイヤレスヘッドホンの中では現状断トツで音、装着感、品質が良いので、ノイキャンは必要ないけど音質・コスパは重視したい。という方におすすめです。