概要
今回はFIIOより発売のCDプレーヤー『DM13BT』をレビューしていきます。
音源のダウンロード販売やストリーミングが主流になって久しく、需要の変化と共にCDプレーヤーも殆ど発売されなくなってしまいました。そんな中で丁度良い価格帯で最近の技術を集約させたようなポータブルCDプレーヤーが欲しいな~と思っていた今日この頃、FIIOから発売されていた理想的なポータブルCDプレーヤー、ⅮⅯ13BTがようやく国内で発売となったので購入しました。
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カラーバリエーションはブラック/シルバー/レッド/トランスペアレントの4色展開。
ブラック/シルバー/レッドが市場予想価格26,950円、トランスペアレントが市場予想価格31,350円となっています。
トランスペアレントは通常デザインとは異なり、上蓋部分が透明で中のCDが見える、オシャレなデザインとなっておりインテリアとしても映えそうです。
私はクリア部分に傷を付けてしまうのが怖いので通常デザインのブラックを選択しました。
主な特徴
出典:fiio.jp
- デュアルDAC+デュアルアンプ構成による高品位なサウンドと99段階の細やかな音量調整
- コンパクトなボディに最大660mWのパワフルな出力
- 好みで選べる4つのカラーバリエーション
- 耐久性と持ち運びやすさを両立したデザイン
- さまざまな機器に対応するデュアル出力
- 低ジッター設計のデジタル転送を実現
- 視認性に優れた高コントラストLCDディスプレイ
- 大事なCDを保護する本体構造
- 高品質Bluetoothコーデックに対応
- ポータブルとデスクトップ両方に対応した電源モードを搭載
- 長時間再生に対応する、3750mAh高容量バッテリー搭載
- 楽しみが広がる。再生・お気に入り機能
- お気に入りCDの音源をUSBに保存
- 優れた素材と耐久性
製品仕様・スペック
項目 | 仕様 |
---|---|
チップ構成 | メインコントローラー:CS6137 オーディオアンプ:SGM8262(2基搭載) DAC:CS43198(2基搭載) |
ディスプレイ | 1.5インチ LCDディスプレイ |
対応インピーダンス | ・シングルエンド:8~150Ω ・バランス:8~350Ω |
ヘッドホン出力(バランス) | ・出力:最大660mW(32Ω、THD+N<1%) ・THD+N:0.0024%(1kHz/0dB@32Ω) ・S/N比:≧124dB(A特性) ・チャンネルセパレーション:≧120dB(1kHz@32Ω) ・周波数特性:20Hz~20kHz(±2.3dB) |
ヘッドホン出力(シングルエンド) | ・出力:180mW(32Ω、THD+N<1%) ・THD+N:0.0025%(1kHz/0dB@32Ω) ・S/N比:≧120dB(A特性) ・チャンネルセパレーション:≧77dB(1kHz@32Ω) ・周波数特性:20Hz~20kHz(±2.3dB) |
USBポート | USB Type-C×2(電源供給用×1、USB録音用/充電用×1) |
出力端子 | ・ヘッドホン出力:3.5mmステレオミニジャック、4.4mmバランス ・ライン出力:3.5mmステレオミニジャック、4.4mmバランス ・デジタル出力:3.5mm(同軸/光デジタル兼用) |
対応コーデック | SBC / aptX / aptX Low Latency / aptX HD |
バッテリー | リチウムイオン電池(3750mAh/3.8V) |
連続再生時間 | 最大10時間 |
充電時間 | 約2.5時間(5V 2A充電器使用時) |
電源入力 | DC 5V/≧2A |
付属品 | クイックスタートガイド USB Type-A to Type-Cケーブル(充電・データ兼用) 3.5mm to 同軸変換ケーブル |
内容物
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- ⅮⅯ13本体
- USB Type-A to Type-Cケーブル(充電・データ兼用)
- 3.5mm to 同軸変換ケーブル
- 滑り止め予備
- クイックスタートガイド
外観
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初期のディスクマンを彷彿とさせるスクエア型デザイン。
落ち着き、高級感のあるマットな質感。
本体のサイズは137×144×26mm。重さは約463.6g。
アルミ合金を採用した剛性の高い造りなので重さはそれなりにあり、ずっしりしています。
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上蓋手前側に全ての操作ボタンが並んでいます。
視覚的にシンプルでわかりやすいです。
ただ、ポータブルで使用する事を想定しているならどこか一か所でも大きさや高さを変える、突起を付ける等、触覚的な違いがあるとより良かったかなと思います。
電源操作
- 電源オン:電源スイッチを短く押す
- 電源オフ:電源スイッチを3秒押す
- 出力モード切替:電源オンの状態で短く押す
- 出力モードの種類
- PRE OUT:フロント/リアパネルの出力端子から出力
- USB OUT:パソコンの録音ソフトで録音可能
- SPDIF OUT:光/同軸出力
- BLUE OUT(Bluetooth搭載モデルのみ):Bluetooth出力
- 出力モードの種類
再生・録音操作
- 再生/一時停止:短く押す
- 録音(RECORDモード):再生/一時停止ボタンを長押し
- 初期化(工場出荷時リセット):CDドアを開けたまま再生/一時停止ボタンを長押し
曲操作
- 曲戻し
- 短押し:前の曲に戻る
- 長押し:早戻し
- Bluetooth時(BLUE OUT):長押しでペアリング
- 曲送り
- 短押し:次の曲へ
- 長押し:早送り
- Bluetooth時(BLUE OUT):長押しでペアリング解除&再接続
音量調整
- 音量+:短押しで1段階上げる / 長押しで素早く上げる
- 音量-:短押しで1段階下げる / 長押しで素早く下げる
機能選択
- 再生モード切替:短押し
- REP ALL(順番再生)
- REP RAND(ランダム再生)
- REP 1(1曲リピート)
- お気に入り機能
- 長押し:曲をお気に入りに追加
- お気に入り曲全削除:長押し
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前面にはLCDディスプレイと3.5mm/4.4mmジャックを備え、シングルエンド接続、バランス接続に対応しています。4.4mmバランスに対応したポータブルCDプレーヤーは貴重です。
ディスプレイの輝度も調節可能。
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本体背面には4隅にゴム足が付いているので滑りづらく安定する。
素材の劣化が懸念材料ではあるか予備のゴム足が付属しているので安心。
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背面には、左から4.4mmバランスラインアウト、3.5mmラインアウト/同軸/光デジタル 3-in-1出力、USB REC端子、ESPスイッチ、Type-C電源端子、デスクトップモードスイッチを備えています。
- USB端子の使い分け
- USB REC端子給電時
- デバイスがUSB OUTモードの時、USBメモリを使用しwav形式で録音可能
- POWER IN端子給電時
- デバイスがUSB OUTモードの時、USB REC端子をPCに接続して録音可能
- USB REC端子給電時
- ESP機能(音飛び防止)
- ON:移動時の安定した再生向け
- OFF:据え置き時の高音質再生向け
- デスクトップモード
- ON:USB電源のみ使用し、バッテリーを消費しない
- OFF:バッテリーを通常通り給電/充電
ポータブル、据え置きに両対応し、外部DACに接続して使用する事も可能です。
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右側面にドアスイッチがあり、こちらをスライドさせる事で蓋が開きます。
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蓋を開けるとこんな感じ。内部もアルミ合金製で剛性は高そうです。
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強度が不安なヒンジ部分もアルミ合金製・太めしっかりとした造りです。
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あえて十分なスペースを確保し、取り出しやすさやCDを傷付けないように考慮された設計になっています。
使用した感想
操作は直感的かつシンプルで使いやすく、中も十分なスペースがある為CDの設置、取出しもしやすく非常に快適です。
音質について
個人的にはポータブルCDプレーヤーとは思えないぐらい良いと思いました。
一昔前のSONY製ポータブルCDプレーヤーと比較しても圧倒的にノイズが無くクリアで、音が無い瞬間は静寂です。解像度が高くニュートラルでバランスの取れたFIIOらしい音質傾向だと思います。かなりクリアで鮮明なのに音の粒子がかなり細かく全く刺さりません。細かい音の余韻やボーカルの生々しいブレス、低音の暖かみ等原音の豊かさを余すことなく感じられます。
3.5mmシングルエンドと4.4mmバランスはサウンドステージと分離感の好み次第、といった感じです。しかしやはりポータブルCDプレーヤーで4.4mmバランス出力は乙です。
機能について
Bluetooth機能について
『ⅮⅯ13 BT』は名前の通りBluetooth機能を搭載したバージョンで、高音質コーデックaptX HDに対応しているのでワイヤレスでも高音質で楽しむ事ができます。有線だとどうしても場所に囚われますから、ワイヤレスでプレーヤーから離れた場所で作業をしながら、寝っ転がってリラックスしながらというのもBluetooth機能搭載ならではの良さです。ANC搭載のワイヤレスイヤホン・ヘッドホンならノイキャンや外音取込を使用できる強みがあり、イヤホンにもよりますがボリューム調整や曲送りもイヤホンからコントロールできるので携帯して外出する際も使いやすいです。ポータブルCDプレーヤーを携帯してワイヤレスイヤホン・ヘッドホンで音楽を聴くのもレトロとモダンが融合していて乙です。
リッピング機能について
本機ではUSBメモリを使用するトラックリッピングと、PCに接続して録音するPC録音の2つの手段で曲を取り込む事ができます。今回はUSBメモリに記録する方法で試してみました。
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取込は無事終了し、しっかりWAV形式で取り込まれており、問題無く再生する事ができました。
USBメモリ・PCどちらを使用しても等倍での処理となる為、取込が終わるまでは全曲の長さ分時間がかかります。また、アルバムの中の好きな曲だけ取り込む、というような事もできません。
そして、インターネットにも接続されていない為当然曲やアルバムの情報は取得されず、何らかのソフトを利用するか自分で編集する手間がかかります。なのでPCがあるなら無難にiTunes等の音楽アプリで取り込んだ方が効率的で使いやすいとは思います。
ミュージックアプリの細かい設定操作が苦手だ、という人にとっては、USBメモリ(またはPC)を接続して本機で録音すれば必ずWAV形式で保存されるのでこちらの方が直感的で良いかもしれませんね。
欲を言えばUSBメモリに取り込んだ音楽を再生できる機能があれば尚良かったなと思います。
デスクトップモードについて
バッテリー搭載という事で、懸念材料なのはやはりバッテリーの劣化。
使っているうちにどうしても劣化する運命にありますが、デスクトップモードをONにして使用する事でUSBからのみ電源供給を受ける事が出来、バッテリーの寿命を長持ちさせることが出来ます。
これはポータブルでも使う人にとっては嬉しい仕様です。
仮にバッテリーの寿命が来たとしても、据え置きで使い続けられるのが良いですね。
ESP機能について
音飛び防止機能が付いているので、携帯して使用する際も使いやすいです。
鞄に入れて家の中を歩き回りONとOFFで比較してみましたが、OFFでも音飛びしなかった為効果の程はわかりません。また音質変化についても特に感じ取れませんでした。
気になった点
音楽試聴時には全く気になりませんが、CDの回転音や駆動音がやや大きめかなという印象を受けました(個体差もあるかもしれません)。一昔前のSONY製のポータブルCDプレーヤーと同じディスクで比較してみましたがそちらの方が回転音・駆動音に関してはより静音でした。うるさいと言うほどではありませんが、比較するとやや大きいかなという程度です。
また、ポータブルCDプレーヤーとしても据え置きとしても使用可能な本機ですが、携帯して気軽に持ち運ぶにはやや重く嵩張るかなぁと個人的には感じました。ただ、今の時代に携帯性を重視する人はそもそもスマホや小型DAP等で音楽を聴いているでしょうから、ポータブルCDプレーヤーを携帯しようとしている人にとっては個性的でそれもまた一興なのかもしれません。『鞄の中にポータブルCDプレーヤーを入れて持ち運ぶ』のではなく、『ポータブルCDプレーヤーを持ち運ぶのに鞄に入れる』人なら楽しめると思います。
総評
DAPもあるし、一昔前のポータブルCDプレーヤーも持っているし、絶対必要かと言われたら正直無くても良いのですが(マニアあるある)、私個人的には本当に買って良かったと思わせてくれる音質と満足感がありました。今の技術を集約させた、ポータブルと据え置き両刀の正に理想的なCDプレーヤーだと思います。ストリーミングで簡単に音楽は聴ける時代ですが、オシャレなジャケットの入ったケースからCDを取り出し自分の手でセッティングして、歌詞カードを眺めながらゆったりと音楽を聴く良さを改めて実感させてくれました。
CDでの音楽鑑賞が好きな方、興味がある方にはかなりおすすめです。