Bluetooth6.0って、5.0と比べて何がすごいの?

私たちの身の回りには、ワイヤレスイヤホンやスマートウォッチ、スピーカーなど、ケーブルを使わずに通信する便利なものがたくさんあります。これらを動かしている技術の一つに「Bluetooth(ブルートゥース)」があります。
Bluetoothはどんどん進化していて、今注目されているのが「Bluetooth 6.0」という最新の規格です。それまで主流だった「Bluetooth 5.0」と比べて、どんなところが新しくなって、私たちはどんな良いことがあるのでしょうか?
初心者の方にも分かるように、ポイントを絞って解説します。
まず、Bluetooth 5.0ってどんなものだったの?
Bluetooth 5.0は、2016年に登場しました。それまでのBluetoothに比べて、主に次の3つの点でパワーアップしました。
- 速さ: データを送る速さが2倍になりました。
- 届く距離: 信号が届く距離が4倍になりました(条件によってはもっと遠くまで)。
- 送れる情報量: 一度に送れる情報の量が増えました。
これによって、ワイヤレスイヤホンでより良い音質を楽しめたり、離れた場所にあるセンサーとつながったり、たくさんのデバイスに一度に情報を送ったりすることがスムーズになりました。特に、様々なモノがインターネットにつながる「IoT(アイオーティー)」の世界が広がる上で、とても重要な役割を果たしました。
そして、最新のBluetooth 6.0が登場!

Bluetooth 6.0は、2024年に正式に登場しました。5.0の進化をさらに進めつつ、特に力を入れたのは、「デバイス同士が、お互いがどれくらい離れているか、どの方向にあるかを、ものすごく正確に知る」ことです。

例えるなら、これまでのBluetoothは「だいたいこの辺にいるな」くらいしか分かりませんでしたが、6.0では「あなたの目の前から〇センチ離れた、この場所!」とピンポイントで分かるようになった、というイメージです。
Bluetooth 6.0のここがすごい!新機能を見てみよう
6.0で加わった、特に注目すべき新しい機能を紹介します。
- チャネルサウンディング(場所を正確に知る技術)
- 何ができる? デバイス同士の距離を、なんと「センチメートル単位」という驚くべき精度で測れるようになりました。
- どうやって? 特殊な信号のやり取りをして、信号の「波」のズレを測ったり、信号が往復する時間を測ったりすることで実現します。(ちょっと難しいですが、信号を使って高精度な測量をする、と思ってください。)
- 何が良くなる?
- なくし物探しが超正確に! 鍵や財布、リモコンなど、Bluetoothタグをつけたものを家の中でなくしても、「〇〇の横の、△△から30センチの場所」のように、かなり正確な場所を教えてくれるようになります。今ある「探す」機能が格段にパワーアップします。
- デジタルキーがより安全に! スマートロックや車のキーとして使う場合、単に近づくだけでなく、正確な距離が測れることで、より安全にロックを解除できるようになります。
- 屋内のナビがスムーズに! ショッピングモールや駅など、GPSが届きにくい場所でも、自分の正確な位置が分かり、目的地まで迷わず行けるようになります。
- ここがポイント! この正確さは、今まで「UWB(超広帯域無線)」という別の技術が得意としていた分野です。それが、私たちが普段使っているBluetoothでできるようになるかもしれない、というのは大きな進歩です。
- DBAF(ムダな通信を減らす技術)
- 何ができる? たくさんのBluetoothデバイスが周りにある時に、自分に関係ない情報の信号を効率よく無視できるようになります。
- 何が良くなる?
- デバイスの電池が長持ち! いらない情報を一生懸命受け取る必要がなくなるので、使う電力が減り、電池がより長く持つようになります。
- 通信がスムーズに! 空中に飛び交うムダな信号が減るので、電波の混雑が減り、必要な通信が通りやすくなります。
- アドバタイザーの監視(デバイスの出入りを知る技術)
- 何ができる? 自分の周りに、特定のBluetoothデバイスが「近づいてきた」または「遠ざかった」ことを自動で検知して知らせてくれます。
- 何が良くなる?
- やっぱり電池が長持ち! いつも周りをキョロキョロ探している必要がなくなり、「誰か来たぞ!」という時だけ教えてくれるようになるので、電池の節約になります。
- デバイス連携がスムーズに! スマートホームなどで、「家族が家に近づいたら照明をつける」といった連携が、よりスムーズかつ確実にできるようになります。
- ISOAL拡張(オーディオなどをスムーズに送る技術)
- 何ができる? 音楽や声など、リアルタイム性が大事なデータを送る時に、途中で区切らずにまとめて送れるようになったり、送り方を効率化したりできます。
- 何が良くなる?
- ワイヤレスイヤホンで音が途切れにくい! 遅延(音が遅れて聞こえること)が減り、動画やゲームの音声も違和感なく楽しめます。
- 高音質の音楽もより快適に! たくさんのデータを効率よく送れるようになるので、より高音質の音楽をワイヤレスで楽しめる可能性があります。
- LL拡張機能セット(デバイスがお互いの得意なことを教え合う技術)
- 何ができる? Bluetoothデバイス同士が、「私はこういうことができます」「あなたは何ができますか?」という情報を、より詳しく伝え合えるようになります。
- 何が良くなる? 色々なメーカーのデバイス同士が、お互いの機能をより深く理解し合うことで、もっと賢く連携できるようになります。
- フレーム空間アップデート(通信のタイミングを調整する技術)
- 何ができる? デバイス同士がデータをやり取りする時の「間の時間」を、状況に合わせて調整できるようになります。
- 何が良くなる? 速くデータを送りたい時は間の時間を短くしてスピードアップしたり、性能が高くないデバイスのために間の時間を長くして確実に送れるようにしたりと、より柔軟で効率的な通信ができるようになります。
性能を比べてみると? (Bluetooth 5.0 vs 6.0)
機能 | Bluetooth 5.0 | Bluetooth 6.0 | ここが進化した! |
最大通信速度 | 2 Mbps(LEの場合) | 3 Mbps(LEの場合) | 50%アップで、データ転送などがさらに速く! |
最大届く距離 | 240メートル(理論上、理想的) | 300メートル(理論上、理想的) | 少し伸びて、広範囲での接続がより安定! |
消費電力 | 省エネルギー設計 | さらに省エネルギー設計 | 新しい機能(DBAFなど)でムダな通信を減らし、電池がより長持ちするように! |
場所を知る機能 | だいたいの場所がわかる(数メートルの誤差) | センチメートル単位で正確な場所がわかる | なくし物探しやデジタルキーなどが劇的に便利で安全に! |
その他のすごい機能 | 速く、遠く、多くの情報を送る機能など | チャネルサウンディング、DBAF、アドバタイザーの監視、ISOAL拡張など新しい便利機能がたくさん追加! | 特に「場所を正確に知る」機能は大きな進化。ムダをなくして効率を高める機能も充実。 |
Bluetooth6.0対応製品は?
Bluetooth 6.0は、2024年9月に仕様がリリースされたばかりの最新のBluetoothバージョンです。
仕様が発表されたばかりのため、現時点で「Bluetooth 6.0対応」を明記した製品は、市場にはまだほとんど出てきていない状況です。
今後、各メーカーがBluetooth 6.0に対応したチップセットを開発し、それを搭載した製品(イヤホン、スピーカー、スマートフォン、PC周辺機器など)が登場するには、しばらく時間がかかると予想されます。
対応スマートフォン
・Xiaomi 15 Ultra
・Xperia 1 VII 6月上旬発売予定
対応ワイヤレスイヤホン
・QCY Crossky C30S
・対応ワイヤレスヘッドホン
まとめ
Bluetooth 6.0は、Bluetooth 5.0で速く、遠くまで、省エネになった特長をさらに進化させつつ、特に「センチメートル単位で正確な場所を知る」という画期的な機能が加わったのが最大の特徴です。
これにより、IoTデバイスはさらに賢く効率的に、ワイヤレスオーディオはより高音質でスムーズに、そして私たちの身の回りにある「なくし物」は超正確に見つけられるようになるなど、様々な場面で私たちの生活をより便利で豊かなものにしてくれる可能性を秘めています。
もちろん、これらの新しい機能を使うには、Bluetooth 6.0に対応した新しいデバイスが必要になりますが、これから対応製品が続々と登場してくることが期待されています。
Bluetooth 6.0の登場で、ワイヤレス技術はまた一歩大きく進化しました。今後の私たちのデジタルライフがどう変わっていくのか、楽しみですね!