概要
今回はEarFunより発売の『EarFun Clip』をレビューしていきます。
耳を塞がないオープンイヤーイヤホンの中でも耳に挟む事で眼鏡やマスクに干渉せず、脱落する心配が少ない、快適さとファッショナブルさが人気となっているトレンドの『イヤーカフ型』で、ブランド初となる待望のイヤーカフ型でもあります。
新製品を出す度にほぼ毎回といって良いぐらいその価格帯のコスパ最強を更新してくるEarFunが今回はどこまで驚かせてくれるのか楽しみです。
動画版はこちら↓

提供:EarFun
主な特徴

スペック・製品仕様

内容物

- イヤホン本体+充電ケース
- 充電ケーブル
- 説明書
以上になります。
外観

ケースはコロッとした楕円型に近い形状。
EarFunらしいマットシルバーで落ち着いた印象。
前面にインジケーター搭載。

底面に充電ポートとペアリングリセットボタンを搭載。

蓋を開けるとこんな感じ。
イヤホン本体のブリッジ部分がせり出して収納されているので取り出しやすいです。
同価格帯の他ブランド製品で多く取り入れられている左右自動切替機能は非搭載で、ⅬRが割り当てられています。


右耳が赤、左耳がシルバーと球体部の根本の色が左右で分かれているので見分けがつきやすいです。
こういった形状の出音部は真下を向いている物が多いですが、耳に音がダイレクトに届くよう角度がついています。恐らくこれは完全左右対称設計だとできないので、音質や音漏れ防止を優先した設計なのかもしれません。
耳後ろ側は楕円形でブランドロゴがあしらわれています。

コントロールはタッチセンサー式では無く、物理ボタン式です。
装着すると耳後ろの上側に来るので、人差し指や中指で操作しやすいですが、センサー式とどちらが良いかは好みが分かれるところでしょう。物理ボタン式はセンサー式に比べ圧倒的に誤操作が減るので、個人的には物理ボタン式の方が嬉しいです。

ブリッジ部分は柔軟性があるので多くの耳型にフィットします。


実測値で本体片側5.8g、ケース込みで49.4gと軽量です。
専用アプリについて



専用アプリでは、各モード切替やイコライザー設定、コントロールカスタマイズ等様々な機能を使用する事ができます。今作はゲームモード、シアターモード、低音強化モード、マナーモードと切替できるモードだけでもかなり多彩です。中でも注目なのは「マナーモード」で、ONにする事で音量を素早く下げてくれます。単純な機能ではありますが、例えば耳から外さずにアナウンス等外の音を聞いたり、誰かと会話したり、音漏れが気になる電車内や店内だけONにする等、想定できる活用幅は広くどれもかなり実用的です。オープンイヤーイヤホンの弱点である「音漏れ」を対策できるかなり嬉しい機能ではないでしょうか。



コントロールカスタマイズでは1~3回タップ+長押しのフルカスタムが可能なので自由度は高いです。また、先ほど紹介したマナーモードも割り当てられるので、アプリを開かずとも瞬時に切り替える事ができます。
2台のデバイスに同時接続できるマルチポイント機能は接続中のデバイスや過去に接続したデバイスが履歴として可視化され、トグルスイッチ式で簡単に管理できるのでかなり便利です。これはEarFunアプリの個人的推しポイントで、普段スマホやPC、タブレット等複数のデバイスを使う人にとってはかなり快適ポイントです。
ただし、LDACとの併用はできずLDACに切り替える際はOFFにする必要があります。



その他、ボリュームの上限やバランスを調整したり、音声ガイダンスの言語とボリュームを変えられたり、イヤホンを探す機能等便利機能が多数搭載されています。
使用した感想
装着感について



基本的に耳から脱落せず本体が軽量かつ2点で挟む形式なので重さを感じにくく、装着感はかなり快適です。
他のイヤーカフ型に比べ比較的しっかりめにホールドされているので安定感がありますが、圧迫感や窮屈さは感じません。ズレにくいので運動中の着用にも向いています。
音質について
AndroidにてLDAC接続で使用した感想です。
音の粒子がきめ細やかで滑らかな安心安定のEarFunサウンドで、解像度は高くありながら耳当たりが良いです。デフォルトの状態でも高域から低域までバランスが良く、オープンイヤー型が苦手な低音もしっかりとアタック感、沈み込みを感じる低音が出ています。サウンドステージは縦横共に広く、音の広がりや立体感を感じることができます。
通話音質について
ノイズが少なくクリアで聞き取りやすく感じました。ボリュームも十分です。
主な機能について
マルチポイント機能
Android2台に同時接続して試してみました。
先発デバイス再生中に後発デバイスは割り込み出来ないタイプで、切り替えレスポンスは約2.7秒と少し遅めですが許容範囲内といったところでしょうか。
ゲームモード
遅延テストアプリでONとOFFで試してみたところ(LDAC時)、OFFの状態で約0.07秒、ONの状態で約0.05秒程でした。比較的速い方だと思います。オンでもオフでも動画鑑賞であればほぼ気にならないレベルで、オンの状態であればカジュアルにゲームを遊ぶ事も出来ると思います。(FPSや音ゲー、格ゲーを除く)
低音強化モード
「低音をさらに豊かにし、衝撃的なリスニング体験を提供します」と説明がありますが、実際のところは低音を強化するというより、中域、高域を減衰させる事で相対的に低域のバランスを強くするといった物で、低域の強さ自体はほぼ変わりません。これは少し残念というか、元々低音はそれなりに出ているので、別にこのモードを用意しなくても良かったのではと思いました。
マナーモード
今回数ある機能の中で最も良いなと思ったのはこの「マナーモード」で、ONにする事で瞬時にボリュームを一気に下げてくれます。字面で見ると凄く単純で、そんなに恩恵あるの?と思うかもしれませんが、イヤーカフイヤホンを使用する上で気になる部分として上位に来るのが「音漏れ」です。耳を塞がない構造上、どうしても音漏れは発生してしまうもので、音漏れが大きいと静かな場所や人と密接する環境では使いづらく、使用できるシーンが限定されてしまうのがこれまでのオープンイヤー型の弱点でしたが、このマナーモードを搭載したことにより着けっぱなしのままシーンを選ばず使用する事ができます。電車やタクシーに乗る時だけONにする、レジ等人と話す時だけONにする等、日常でよくある「音漏れが気になるシーン」や「周りの音を聞きたいシーン」で活躍します。
どれぐらい音漏れ防止効果があるのか耳型に当イヤホンを装着して通常時とマナーモード時を比べてみました。
通常時でも他のイヤーカフイヤホンと比べて音漏れは小さめで、耳から50cmぐらい離れてかすかになんとなく聞こえる程度でしたが、ONにした途端ほぼ何も聞こえなくなりました。耳から10cmぐらいまで近付かないと音が出ていることもわかりません。これなら音漏れを気にせずに日中着けっぱなしにして出かける事が出来ます。また、ONにしている間は「ボリュームを下げる」だけなので音楽は普通に聞こえていて、無音になるわけじゃないのでマナーモードにしている最中も再生中のコンテンツを楽しむことができます。
機能としてはかなり単純な機能で密閉型のワイヤレスイヤホンやヘッドホンではちょこちょこ見かける機能ですが、音漏れが気になるイヤーカフイヤホンではかなり広いシーン使いやすくなる良機能だと思います。
シアターモード
サウンドステージの中心が頭の中心になり、定位感がより立体的になって元々広いサウンドステージが更に広くなります。LDACとの併用はできません。
「自分を中心に音が広がる」ので、映画やゲーム等没入型コンテンツとの相性が非常に良く、特に名前の通り映画との相性は抜群で、スマホやタブレットでも映画館で観ているような臨場感を味わえます。こういったモードにありがちなサウンドステージは広くなるがぼやぼやした音になるといった事も無く、解像度を保ったまま広げてくれます。
気になった点
低音強化モードについて
先に少し触れましたが、わざわざモードとして用意するほどの変化では無いかなと思いました。特に機能の説明文では「低音を”強化”し、”衝撃的”なリスニング体験」と期待値を上げる内容が書いてあるので、どんなもんかと蓋を開けてみたら中高音域を減衰させるだけでここは少しがっかりポイントでした。

本体の電源操作について
イヤホン本体はボタン操作で電源を切る事ができず、充電ケースに戻すか、専用アプリのシャットダウンボタンを使用して電源を切ります。専用アプリから電源を切った場合は、イヤホン本体の物理ボタンから電源をONにする事ができます。なので、一日中着けっぱなしで使わない時は充電の浪費を防ぐために電源を切りたい、という時に充電ケースへ収納するかスマホを取り出して電源を切る手間が発生します。恐らく殆どの人は気にならない部分ですし私もこれに関して特段マイナスには感じていませんが、「手動電源ONができるなら手動電源OFFも設ければ良かったのに」というそれだけです。
ただ、電源OFFタイマー機能が搭載されているので、5分など短い時間に設定しておけばBluetooth接続を切る事で自動的に本体の電源OFF操作が出来、使用しない間のバッテリーの浪費を防ぐ事ができます。
総評

需要の高い高音質コーデックLDACに対応し、誤操作が起こりにくい物理ボタン式、音質や音漏れ防止を重視した設計・機能と、「そうそう、こうして欲しかった」と言うようなイヤーカフユーザーのこれまでのフィードバックを反映し詰め込んだような理想的な性能になっています。
特に「マナーモード」の搭載はオープンイヤー型全般の懸念点である「音漏れ」への心配を払拭し、シーンを選ばず使いやすくなる素晴らしい機能だと思いました。
EarFun製品の良いところは、「最新のスペックや技術を搭載したよ。凄いでしょ。」では無く、「最新のスペックや技術を搭載した上で、ユーザーのフィードバックを正確に反映したユーザビリティの高さと細かな部分まで行き届いた品質の高さ」だと思っています。
今作もまさにそのEarFunらしさが詰まった製品だと思いました。
- 作業や運動のながら聴きに
- 音質を重視される方
- 装着感を重視される方
- ファッション性を重視される方
- 音漏れを気にされる方
- コスパを重視する方
におすすめです。
特にオープンイヤー型の音漏れについて気にされている方にはかなりおすすめの製品です。
▼製品情報先行予約:2025年6月20日(金)ー2025年7月3日(木)
正式発売日:2025年7月4日(金)
先行予約販売リンク: https://bit.ly/CW100-earlybird-PR
通常価格:7990円(税込)
予約価格:5593円(税込)