概要
今回はSOUNDPEATSより発売の完全ワイヤレスイヤホンエントリーモデル、『SOUNDPEATS C30』をレビューしていきます。
提供:SOUNDPEATS

スペック・製品仕様
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 搭載ドライバー | 12mmダイナミックドライバー |
| Bluetoothバージョン | 6.0 |
| 対応コーデック | LDAC, AAC, SBC |
| 防水規格 | IPX5 |
| 最大再生時間 | 約10時間 |
| 総再生時間 | 約52時間(充電ケース併用) |
| 急速充電 | 10分充電で約3時間再生 |
| アクティブノイズキャンセリング | 〇 |
| マルチポイント | 〇 |
| 空間オーディオ | 〇(ムービーモード:疑似拡張) |
| ゲームモード | 〇 |
| 装着検出 | ✖ |
| 通常価格 | ¥4,980 |
搭載ドライバーは12㎜と大口径のダイナミックドライバーを搭載しています。
そして今回注目ポイントなのが5000円未満のエントリーモデルながらSBC、AACに加えなんとLDACにも対応。
防水規格はIPX5認証を取得。雨や汗などを気にせず使用可能です。
再生時間は単体で最大10時間、合計で52時間とエントリーモデルとは思えないスタミナを実現。
急速充電にも対応しています。
更に機能としてはアクティブノイズキャンセリングに加えマルチポイントやゲームモード、ムービーモードにも対応という充実ぶり。
これで通常価格が5000円未満です。改めて言いますが”通常価格”が5000円未満です。
セール価格でも5000円未満でこの性能に並ぶ製品はほぼ無いのに、これを通常価格で5000円未満に設定しています。ここまでやってしまうと今後の自社製品の売り上げにも影響するのでは、と心配になるコストパフォーマンスです。
内容物

- イヤホン本体+充電ケース
- イヤーピース3サイズ各1組(1組装着済み)
- 充電ケーブル
- 説明書、ステッカー等
外観・デザイン

5000円未満のエントリーモデルと言えばコストの関係でどうしてもデザインにチープ感が出てしまいがちですが今作は充電ケースからこれまでのエントリーモデルとは違う事がわかります。
レザー風のテクスチャが施されたマット仕上げの充電ケースは高級感すら感じます。

ぱっと見レザーっぽく見えますがプラスチック製なので劣化してボロボロになる心配もありません。


ケース前面には充電残量等を示すインジケーターを搭載。
充電ポートは今回珍しく右側面に搭載されています。

蓋を開けるとこんな感じ。ケース内にイヤホン本体がコンパクトに収まっています。
今回充電ケースにペアリングリセットボタンは非搭載となっており、イヤホン本体の操作部両側を6秒間長押しする事でペアリングリセットが可能な仕様となっています。充電ケースに収納したまま両方の操作部を10秒長押しする事で出荷状態に初期化可能です。

インジケーターもLEDが明るく見やすいです。

イヤホン本体は定番のスティックタイプですが、スティックはこれまで展開されてきたスティックタイプよりも短い気がします。それと最近同ブランドから展開されていたイヤホン製品は黒×金の配色が殆どだったので黒×銀(グレー?)の配色は結構久々な気がします。ホワイトのカラーバリエーションも登場予定のようです。

100円玉とのサイズ感比較。ぱっと見小型に見えますが筐体はそれなりに厚みがあり、耳の中に入れるシェル部分はやや大きめといった印象を受けます。

ノズルは汎用性の高い丸形やや短め。ノズル外径は約4mm、最大部で約5.5mm程とワイヤレスイヤホン用/有線イヤホン用問わず幅広いイヤーピースに対応しそうです。

サウンドピーツイヤホンの中でもかなりコンパクトなサイズ感です。


イヤホンの重さは実測値で本体片側約4.7g、充電ケース込みで約44,4gと本体ケース共に比較的軽量なスティックタイプの中でも更に軽量です。
専用アプリについて



専用アプリは大きく分けて『ホーム』『イコライザー』『ユーザー』の3つのタブに分かれています。
ホームタブではモードやコーデックの切替、コントロールカスタマイズ等を行う事ができます。
イコライザータブでは聴覚テストで個人に最適化する『適応型EQ』既に設定済みで選ぶだけで簡単に音質傾向を変えられる『プリセット』、自分で細かく調整可能な『カスタムEQ』から選択して音質傾向を変える事もできます。
ユーザータブではデジタル説明書の確認や問い合わせ等を行う事ができます。

ホームタブ右上を展開する事で『その他の機能』を展開できます。イヤホンからアラームを鳴らしたり地図で最後の切断場所を確認できる『イヤホンを探す』機能や音声ガイダンス言語の切替、通知音の音量調節等も可能です。音声ガイダンスは日本語に対応。


アクティブノイズキャンセリング機能はエントリーモデルながら適応型、室内、屋外、屋外交通と4つのモードが用意されておりシーンに応じて使い分ける事ができます。この適応型とは耳道の形状を解析し、個人に合わせた専用のノイズ制御を自動生成する“耳道自動適応ANC”なのだそう。環境適応型のトグルスイッチも用意されており、ONにする事でその場の騒音レベルに合わせてノイキャンを自動調整してくれます。出荷時の状態だとノイキャン機能が完全では無い為必ず専用アプリでファームウェアアップデートを行いましょう。
5000円未満のエントリーモデルもここまで来たか…と感心させられます。

コントロールカスタマイズは1~3回タップと長押しのフルカスタム可能なので基本操作は全て割り当てる事ができます。ゲームモードも本体操作に割り当て可能なのでアプリを開かなくても本体のみでゲームモードに切り替える事ができます。

LDACを適用する場合はホーム画面のトグルスイッチより適用します。ゲームモード、ムービーモード、マルチポイントとは併用不可です。
使用した感想
装着感について


耳の中で接触するシェル部分は少し大きめに造られている為耳甲介腔を塞ぐようにしっかりめにフィットします。その為安定性は抜群で脱落する心配は全くありません。厚みもそれなりにある為物理遮音性も高いです。時間経過で慣れますが、耳に入れている間は耳甲介腔周りが少し圧迫されるような感覚がある為人により装着感は好みが分かれそうです。耳の小さな人は窮屈に感じる可能性があります。
4g台ととても軽いので装着感さえ合えば疲れにくく、運動や長時間作業にも向いていると思います。
音質について
AndroidにてLDAC、AACで使用した感想です。
低域は量感多めで程よいアタック感があり、中高域はとても伸びが良く余韻を感じやすい派手目なサウンドです。サウンドステージは縦横共にやや広めです。中高域はかなり伸びるので元々リバーブのかかっている曲だと残響の広がりを感じられます。臨場感が高くノリの良いEDMやロック、ポップスやライブ音源、しっとりとした女性ボーカル物等と相性が良いと感じました。
通話音質について
イヤホンから録音して聞いてみました。
通話音質に関してはそこまで期待していなかったのですがかなりクリアで驚きました。これまで試してきたミドルクラスやハイエンドクラスを含むワイヤレスイヤホンの中でも上位に入るぐらいクリアで聞き取りやすいです。
主な機能について
ANCについて

単純な効力で言うと屋外交通>屋外>室内の順で効力が強く感じます。
適応型は効力で言えば屋外交通や屋外等と同等ぐらいかと思いますがおそらく適応させる仕様上極僅かにホワイトノイズ感があります。
基本的には適応型か環境適応型で良くて、外で一か所に留まっているなら屋外交通や屋外ノイズキャンセリング、移動中なら環境適応型、屋内でデスクワークや勉強に集中したい場合等は屋内ノイズキャンセリングがおすすめです。
物理遮音性が高いのでANCと合わせた総合的な減衰力は強力で、普通に1万円前後やミドルクラスと張り合えるレベルに感じます。
外音取り込み機能もホワイトノイズや違和感の少ないかなり自然な聞こえ方で優秀だと思います。

マルチポイント機能について
Android2台に同時接続して試してみました。
先発デバイス再生中は後発デバイスが割り込めないタイプで、切替レスポンスは私の環境では約1秒程度でした。接続は安定していて特に問題無く使用できました。
ゲームモードについて
AACにて遅延テストアプリを用いて簡易測定してみました。10回測定した平均値から有線イヤホンで10回測定した平均値を引く方法で簡易計測した結果62msという結果になりました。大体公式が表記している値に近く、ワイヤレスイヤホン全体の水準で見れば遅延は少ない方だと思います。動画は特に気にならずに楽しめ、ゲームもカジュアルに遊ぶ分には問題無く楽しめるレベルです。
ムービーモードについて
通常時が大体頭の中心より少し前側で音が鳴っているイメージだとしたら、ONにするとより頭のサウンドステージが中心部に移動し、ボーカルはかなり近づきます。元々良く伸びる残響感のあるサウンドなので、ムービーモードをONにするとより広がりの感じられる超広大なサウンドステージになります。名前の通り映画との相性も良いですが、音楽鑑賞に使用しても凄まじい臨場感のサウンドが楽しめます。私はどちらかといえば音楽鑑賞用途での使用が好きでした。
使用してみて良かった点
・軽量コンパクト設計
充電ケースはコンパクトなサイズ感で軽量なので荷物にならずに持ち運べます。おまけにビジュアルも良いです。イヤホン本体も軽く数時間連続で着用しても重さで疲れにくいです。
・臨場感抜群の音質
言っても5000円未満なので及第点ぐらいの音質があれば別にいいかなぐらいに思っていたのですが、メリハリのある派手サウンドで音楽鑑賞でも動画鑑賞でも満足感が高いです。
・ノイキャン性能も想像以上に良い
上と同じ理由で価格帯的にもそこまで期待していませんでしたが、普通に実用レベルの強力ノイキャンでした。物理遮音性も高いので他のスティックタイプと比べても静寂感が強いです。
・エントリーモデルとは思えない多機能・高性能
エントリーモデルと言えば初心者向けのシンプルな機能とスペックというイメージがありますが、そんなイメージを全て破壊していきました。LDAC対応、ロングバッテリー、マルチポイント対応、適応型ANC、ゲームモード、ムービーモード搭載。これはエントリーモデルというより破格のフラッグシップモデルでは、というぐらいの充実ぶりです。
・圧倒的なサウンドステージのムービーモード
元々残響感の強い音質も相まって疑似空間拡張系のモードの中でも圧倒的な広がりです。
好みもあるとは思いますが個人的にはかなり中毒性の高いサウンドで通常モードとの違いを楽しめました。
使用してみて気になった点
・イヤホン本体の取出しについて


ケース自体がコンパクト設計な事もありますが、ケースの奥側半分にイヤホン本体が詰まっているような収納状態の為指が入る隙間が無く、イヤホン本体がケースからせり出している面積も少なめなので少し取り出しにくさを感じます。おそらくケース手前側半分にバッテリーが収納されている為このようなデザインになっているものと思われ、配置は仕方ないと思いますがもう少し本体を上にせり出せれば少し改善できたかな、という気がします。
・最小音量が大きめ
これは端末によって多少変わりますが、私が他のワイヤレスイヤホンで音楽鑑賞に最適だなと感じるボリュームが50%だとすると、このイヤホンは20%ぐらいで同等の音量が出ます。なのでボリューム最小値も他のワイヤレスイヤホンより大きく、ながら聴き用途等でかなり小さい音量で聴きたいという人にとっては最小値でも大きいと感じる人が居るかもしれません。。
・イヤホン本体のシェルはやや大きめ

おそらく音響設計や遮音性を高めた結果だと思いますが同ブランドのメインラインである『Air』シリーズのスティックタイプと比較してもシェルは大きく、耳の小さな人は耳甲介周りが窮屈に感じる場合があります。
総評
SOUNDPEATS C30は、通常価格4,980円というエントリー帯でありながら、LDAC対応・強力なANC・マルチポイント・最大52時間再生といった、本来ならミドル~ハイエンド機に求められる機能を惜しげもなく搭載しています。
音質は低域の量感と中高域の伸びを両立させたメリハリのあるサウンドで、特に「ムービーモード」の圧倒的な臨場感は映画や動画鑑賞において価格以上の体験を提供してくれます。レザー風の充電ケースは高級感があり、通話品質も非常にクリアです。
「ケースから取り出しにくい」「最小音量が大きめ」といった些細な気になる点はありますが、それを補って余りある圧倒的なコストパフォーマンスを誇ります。予算を抑えつつ機能には妥協したくないユーザーにとっての決定版と言える一台です。
こんな人におすすめ
- とにかくコスパ重視の人
- 5,000円以下で買えるイヤホンの中で、間違いなくトップクラスの性能を求めたい方に。
- 機能に妥協したくない人
- 安価でも「ノイズキャンセリング」「高音質コーデック(LDAC)」「マルチポイント」の全てが欲しい方に。
- 動画や映画鑑賞が好きな人
- 「ムービーモード」による広大なサウンドステージと、低遅延でコンテンツを楽しみたい方に。
- 長時間使用する人・充電が面倒な人
- イヤホン単体で10時間、ケース込みで52時間のロングバッテリーを重視する方に。

