概要
今回は国内オーディオブランドfinalより新しく発売された有線イヤホン『A2000』をレビューしていきます。

本モデルは何でも手頃な価格で高音質を狙ったハイコストパフォーマンスモデルという事で、1万円未満という価格ながら音質にこだわった設計と、パッケージからも見受けられる通りリケーブルにも対応しているという事でかなり注目度の高い製品です。
装着感、音質といった使用感に加え、激戦区とも言える同価格帯の定番モデルと比較してどうなのか、という点についても語っていきたいと思いますので、ご興味がありましたら是非最後までご覧ください。
スペック・製品仕様表
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 筐体 | ABS樹脂 |
| ドライバー | 6mmダイナミック型(f-Core DU) |
| コネクター | 2PIN |
| ケーブル | OFCブラックケーブル |
| 感度 | 99 dB/mW |
| インピーダンス | 19 Ω |
| 質量 | 20 g |
| コード長 | 1.2 m |
| 参考価格 | ¥9,800 税込 |
ドライバーは自社開発の6mmダイナミック型を搭載。振動板/ボイスコイル/磁気回路、生産機器までも自社設計との事でエントリーモデルながら妥協無しです。
コネクターは2PINを採用。付属ケーブルの線材は無酸素銅を採用。
感度、インピーダンスからスマホ、DAP、ゲーム機等様々なデバイスで使いやすいモデルと推測できます。
価格は通常価格で税込9800円と、イヤホン沼の住人じゃなくても比較的手に取りやすい価格なのも良いですね。
内容物

- イヤホン本体+イヤホンケーブル
- イヤーピース5サイズ各1組(1組装着済み)
- イヤーフック1組
- 注意書き

付属のイヤーピースは同ブランドが展開しているタイプEに見えるシリコン製の物が付属。
ただ明記はされていないのでタイプEかは不明。
外観

イヤホンの形状はこれまでのAシリーズや一部VRシリーズを踏襲した人間工学に基づく筐体表面は凸凹していて指紋や汚れが目立ちにくく耐久性も高いシボ塗装を採用。
マットな質感で見栄えも良いです。


コネクターは2PINで接続部は埋没式。

ケーブル側が特殊形状でなければ基本的には社外製の2PINケーブルとも互換性がありカスタムを楽しむ事ができますが埋没型なのでフラット型に比べれば相性はあるかもしれません。

内側シェルの鮮やかなブルーそのツートンカラーが印象的です。装着すると外からは全く見えない部分なので色が気になるという人も問題ありません。
ノズル外径は約5mmで最大部で約5.5mm、ノズル長は約4mm程。
有線向けからワイヤレス向けまで幅広いイヤーピースに対応する汎用性の高いサイズ感。

付属のイヤーフックを装着する事で装着時のフィット感や安定感をより高める事ができます。


ケーブルは柔らかくしなやかで取り回しも良いです。特に縛らずに丸めて置いても広がって来ません。プラグは汎用性の高いⅬ字型3.5mmなので幅広い機器に接続して使用できます。最近のイヤホンジャック非搭載スマホに接続する場合は変換アダプター等が必要です。


本体片側の重さは2.2gと驚異的な軽さです。ケーブル込みでも約20g程度。
使用した感想
装着感


画像を見て頂ければ分かる通り、耳の形に沿った筐体形状で耳甲介腔に隙間無くぴったりと収まるのでフィット感はユニバーサルモデルの中でもトップクラスに高く、カスタムIEM(オーダーメイド)かのような装着感の良さです。緩やかなフォルムのIEMに比べ隙間がほぼ無いので薄型ですが遮音性もそれなりにあります。薄型で耳への収まりも良いですし、非常に軽量なので長時間着用しても重さによる疲れは全く感じません。もちろん耳の形や大きさは人により異なるので装着する人によって合う合わないはあるかと思いますが私はとても優れた装着感だと感じました。
この軽さに関してはミドルクラスやハイエンドクラスではほぼ味わえない、エントリーモデルならではの良さだなと感じます。普段使いに最高の装着感です。
音質
DAP(SONY NW-ZX707)に付属ケーブル/イヤーピースで使用した感想です。
finalらしい非常に緻密な音の粒子で輪郭が丸く耳当たりの良い、軟水のようなまろやかな音といった印象を受けます。キレや臨場感ではなく、自然さや聴きやすさに重きを置いたチューニングに感じます。ただモニターサウンドとも少し違った印象で、final独特の暖かみを感じます。
バランスとしてはやや高域寄りで低域は控えめといった印象です。
サウンドステージは縦横共に標準的に感じました。定位感は良いと思います。
付属ケーブルがOFCな事もありますが強調感の無い素直な音なのでドンシャリ傾向のようなメリハリのあるサウンドを求める人には物足りなく感じるかもしれません。
音楽ジャンルだとポップスやアニソンと相性が特に良いと感じました。
用途としては聴き疲れしにくい耳当たりの良い音で普段使い、長時間作業等のながら聴き等に適していると思います。
動画の方ではバーチャル試聴も実施しています↓
気になった点

本体は非常に軽量な樹脂製で、付属のケーブルも細く柔らかいので耐久性にはやや不安が残ります。使わない時、携帯する時はケース等に入れしっかりと保護しましょう。ケーブルに関してはリケーブル可能モデルなので断線しても交換する事ができます。
総評

final A2000は、1万円未満という価格帯で耳当たりの良い音質と装着感を高次元で両立した有線イヤホンです。
自社開発の6mmダイナミックドライバー(f-Core DU)による音作りは、finalらしい粒立ちの細かい、まろやかで聴き疲れしにくいサウンドが特徴。派手さよりも自然さを重視したチューニングで、長時間のリスニングや普段使いに非常に向いています。
また、片側約2.2gという圧倒的な軽さと人間工学に基づく筐体形状により、ユニバーサルイヤホンとしてはトップクラスの装着感を実現。2PIN対応でリケーブル可能な点も、この価格帯では大きな魅力です。
一方で、樹脂筐体と細めのケーブルのため耐久性には配慮が必要という側面もあります。
こんな人におすすめ
- 長時間装着しても疲れにくいイヤホンを重視する人
- ドンシャリよりも自然で耳当たりの良い音が好みの人
- ポップスやアニソンを中心に楽しむリスナー
- スマホやDAPなど、幅広い機器で手軽に使える有線イヤホンを求めている人
総じて、A2000は「普段使いや装着感を重視する人」におすすめのバランスの取れた一台です。
特に圧倒的な軽さとフィット感はこのモデルならではの強みかと思います。

