製品の概要
final A8000 DCは、独自開発の「トゥルーマグネシウム振動板」を搭載したフラッグシップ有線イヤホンです。
2019年発売の「A8000」を原点から見直し、振動板や筐体、ケーブル、コネクターなど、すべてのパーツを新規設計。前モデルに採用されていたトゥルーベリリウム振動板に代わり、独自合金化によって強度を高めたトゥルーマグネシウム振動板を採用しています。
A10000の開発で培った技術を取り入れ、特殊ポリウレタン製エッジや接着剤を使わない振動板成形技術、高剛性ステンレス削り出し筐体などを組み合わせています。
さらに、潤工社との共同開発によるシルバーコートOFCケーブルや、高精度自社製MMCXコネクターを採用。2種類のイヤーピースや交換可能なダストフィルターも付属しています。
- ブランド名: final
- モデル名: A8000 DC
- 発売日: 2026年10月30日
製品の特徴
A8000を全面的に見直した新設計
A8000 DCは、2019年に発売されたA8000の後継モデルとして、設計を全面的に刷新したフラッグシップイヤホンです。
従来モデルはトゥルーベリリウム振動板による低歪みと高い応答性を特徴としていましたが、材料調達の事情から製造継続が困難となりました。
そこで、finalは7年間の研究成果と、ダイヤモンド振動板を採用したA10000の開発で培った技術を活用。ベリリウム以外の素材でA8000の設計思想を継承し、さらに発展させることを目指して開発されました。
振動板だけでなく、筐体やケーブル、コネクターなども新たに設計・選定されています。
独自開発のトゥルーマグネシウム振動板
ドライバーには、独自の合金化技術を採用した「トゥルーマグネシウム振動板」を搭載しています。
マグネシウムはアルミニウムの約3分の2の軽さを持つ素材です。軽量であるため、重量を増やさずに振動板の厚みを確保しやすく、厚みを増すことで曲げ剛性を高められます。
A8000 DCでは、マグネシウムに独自の合金化を施すことで、軽量性を維持しながら振動板に必要な強度を確保。ドーム形状による構造的な補強も組み合わせています。
振動板に求められる、駆動力に対する変形の少なさと、素早く元の位置に戻る応答性の両立を目指した設計です。
特殊ポリウレタン製エッジによる共振抑制
振動板のエッジ部分には、A10000の開発で確立した特殊ポリウレタン素材を採用しています。
軽量でありながら高い弾性と伸縮性を備えており、振動板の動きやすさを確保しながら、特定の周波数で発生する共振や分割振動を抑制します。
振動板の素材だけでなく、エッジの特性も最適化することで、ドライバー全体の動作精度を高めています。
接着剤を使用しない独自の振動板成形技術
振動板とエッジの接合には、一般的な接着剤による貼り合わせではなく、独自の成形技術を採用しています。
圧空成形と金型による熱成形を組み合わせ、接着剤を使わずに分子間結合させる方式です。
接着剤の塗布量の違いによって発生する個体差を抑え、振動板とエッジの一体化を図っています。
高剛性ステンレス削り出し筐体
筐体には、高い剛性を持つステンレスを精密に切削加工した削り出し構造を採用しています。
ドライバーを強固に支えることで、筐体の不要な振動を抑制し、音の輪郭を明瞭にする設計です。
表面には鏡面研磨とIP(イオンプレーティング)加工を施し、深みのあるネイビーカラーに仕上げています。
IP加工は金属表面に薄い膜を形成して着色する方法で、塗装とは異なり金属の質感を活かせるほか、色褪せや剥がれが起こりにくい特徴があります。
ネジ止めによる修理を考慮した構造
筐体の組み立てやドライバーユニットの取り付けには、接着剤を使用せずネジ止め構造を採用しています。
製造時の設計難度は高くなりますが、分解や部品交換を考慮した構造にすることで、長期使用時の修理に対応しやすくしています。
また、ネジによる締結で各部品を強固に固定し、不要な共振の抑制にも配慮しています。
接触面積を抑えた装着設計
A8000 DCは、耳との接触面積を限定する形状を採用しています。
耳に広い面積で接触する形状や、シリコンの反発力によって保持する方式とは異なり、接触する部分を限定することで圧迫感を抑える設計です。
また、前モデルA8000よりも筐体サイズを小型化し、耳への収まりやすさにも配慮しています。
潤工社と共同開発したシルバーコートOFCケーブル
付属ケーブルは、潤工社との共同開発による専用設計です。
線材には、銀をコーティングしたOFC(無酸素銅)線を採用。絶縁被膜には、従来のPFA(フッ素ポリマー)よりも低い誘電率を持つePTFE(発泡ポリテトラフルオロエチレン)を使用しています。
MMCXコネクターはfinal自社製で、従来モデルから信頼性を高めた高精度仕様です。
接続方式にはMMCXを採用し、長期的な耐久性にも配慮しています。ただし、本モデルのMMCXコネクターは挿抜が硬い高精度仕様のため、故障時の交換以外を目的としたリケーブルや端子の抜き差しは推奨されていません。
2種類のイヤーピースを同梱
イヤーピースは「FUSION-G」と「TYPE P」の2種類が付属し、それぞれSS・S・M・L・LLの5サイズを用意しています。
FUSION-G
超高密度フォーム、柔らかいシリコン、高弾性シリコンの3素材を組み合わせたトリプルハイブリッド構造を採用しています。
薄型の超高密度フォームによって、指で潰さずに装着できる設計です。フォーム素材による遮音性と、シリコン素材による装着性の両立を目指しています。
また、一般的なシリコンイヤーピースに近い形状を採用することで、イヤーピースの変更による音質傾向の変化を抑える設計です。
TYPE P
音導管部分と耳に触れる部分に、硬度の異なる2種類のシリコン素材を採用しています。
音導管部分には硬めのシリコンを使用し、溝加工によって強度と柔軟性を両立。耳に触れる部分には柔らかいシリコンを採用し、装着性と遮音性に配慮しています。
左右の識別がしやすいよう、イヤーピースの軸部分は片側がグレー、もう片側が赤色になっています。
交換可能なダストフィルター
音導部のダストフィルターは、ユーザー自身で交換できる構造を採用しています。
交換用フィルターと専用メンテナンスツールが付属しており、フィルターが汚れたり目詰まりしたりした場合に交換できます。
製品出荷時にはフィルターがあらかじめ装着されているため、購入直後に取り付け作業を行う必要はありません。
製品のスペック・製品仕様表
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| ドライバー構成 | ダイナミック型 |
| 振動板 | トゥルーマグネシウム振動板 |
| エッジ素材 | 特殊ポリウレタン |
| インピーダンス | 13Ω |
| 音圧感度 | 98dB/mW |
| ケーブルコネクター | MMCX |
| ケーブルプラグ | 4.4mmバランス |
| ケーブル線材 | シルバーコートOFC線 |
| ケーブル絶縁被膜 | ePTFE |
| ケーブル長 | 約1.2m |
| 筐体素材 | ステンレス削り出し |
| 筐体仕上げ | 鏡面研磨、IP加工 |
| 本体重量 | 約62g |
| 付属イヤーピース | FUSION-G(SS/S/M/L/LL)、TYPE P(SS/S/M/L/LL) |
| 付属品 | キャリーケース、イヤーピース、イヤーピースケース、MMCX ASSIST、メンテナンスツール、交換用ダストフィルター、シリコンシート、筐体保護テープ、筐体保護ポーチ、補助プレート |
どんな人におすすめか
final A8000 DCは、独自開発のトゥルーマグネシウム振動板や高剛性ステンレス筐体など、ドライバーや筐体の構造にこだわったフラッグシップ有線イヤホンを探している方に適したモデルです。
A8000の設計思想を継承しながら、振動板素材やエッジ構造、成形技術を一新しているため、final独自の音響技術に関心がある方にも向いています。
また、修理を考慮したネジ止め構造や交換式ダストフィルターを採用しているため、イヤホンを長期間使用したい方にもおすすめです。
FUSION-GとTYPE Pの2種類のイヤーピースが各5サイズ付属し、装着感や遮音性を調整しやすい点も特徴です。高精度なMMCXケーブルや4.4mmバランス接続を備えた、本格的な有線イヤホンを求める方に適しています。


