概要
この記事では、BluetoothでCD品質の音源を無損失伝送できるオーディオコーデック技術「aptX Lossless」について、仕組みや特徴、ほかのBluetoothコーデックとの違い、対応するワイヤレスイヤホン・ヘッドホン・スマートフォンなどを解説します。
aptX Losslessとは
aptX Lossless(アプトエックス ロスレス)は、Qualcomm(クアルコム)が開発したBluetoothオーディオ技術です。
従来のBluetoothオーディオコーデックでは、音楽データを圧縮して伝送するため、元の音源から一部の情報が失われる場合があります。
一方、aptX Losslessは、Bluetoothによるワイヤレス伝送でCD品質の音源をビット単位で一致させて伝送できることを特徴としています。
有線接続に頼らず、ワイヤレスイヤホンやヘッドホンでCD品質のロスレス音源を楽しめる技術です。
aptX Losslessの主な特徴
CD品質のロスレス伝送
aptX Losslessは、CDと同じ16bit/44.1kHzの音源を、元のデジタルデータとビット単位で一致する状態で伝送できます。
また、Qualcommの公式FAQでは、最大24bit/48kHzのロスレス伝送にも対応すると説明されています。
電波環境に応じた自動調整
aptX Losslessは、aptX Adaptiveの技術を基盤としており、Bluetoothの通信状況に応じて伝送ビットレートを動的に調整します。
電波干渉が少なく、十分な通信帯域を確保できる環境ではロスレス伝送を目指し、通信状況が悪化した場合はビットレートを下げて音切れを抑えます。
そのため、常にロスレス伝送が維持されるわけではありません。
1Mbpsを超える伝送性能
aptX Losslessでは、CD品質のロスレス伝送を実現するため、1Mbpsを超えるデータ転送速度を実現する技術が採用されています。
QualcommのBluetooth High Speed Link技術などを組み合わせることで、Bluetoothの通信帯域を拡張し、安定した高ビットレート伝送を目指しています。
aptX Adaptiveとの互換性
aptX LosslessはaptX Adaptiveを基盤とする技術です。
そのため、通信環境や接続機器の対応状況に応じて、aptX Adaptiveによる伝送などに切り替えることができます。
ただし、aptX Adaptive対応機器であれば、必ずaptX Losslessも利用できるというわけではありません。
aptX Losslessを利用するための条件
aptX Losslessを利用するには、送信側と受信側の両方が対応している必要があります。
- 送信側: aptX Losslessに対応したスマートフォン、DAP、Bluetoothトランスミッターなど
- 受信側: aptX Losslessに対応したワイヤレスイヤホン、ヘッドホン、Bluetoothレシーバーなど
- 音源: ロスレス品質の音源
- 通信環境: ロスレス伝送に必要な通信品質・帯域を確保できること
さらに、再生アプリや機器の設定によっては、ロスレス伝送が有効にならない場合もあります。
対応機器を揃えただけで必ずロスレス接続になるとは限らないため、実際の接続コーデックや再生品質も確認することが重要です。
Snapdragon SoundとaptX Losslessの関係性
Snapdragon Sound(スナップドラゴン サウンド)は、Qualcommが提供するワイヤレスオーディオ技術の統合プラットフォームです。
高音質な音楽再生だけでなく、音声通話、ゲーム、低遅延伝送、接続安定性など、ワイヤレスオーディオに関する複数の技術を組み合わせています。
aptX Losslessは、このSnapdragon Soundに含まれる技術の一つです。
Snapdragon Soundに含まれる主な技術
| 技術 | 主な特徴 |
|---|---|
| aptX Lossless | CD品質などのロスレスオーディオ伝送 |
| aptX Adaptive | 通信環境に応じたビットレート・遅延の動的調整 |
| aptX HD | 最大24bitの高音質オーディオ伝送 |
| aptX Voice | 高品質な音声通話を実現する技術 |
| Qualcomm Bluetooth High Speed Link | Bluetoothの通信帯域を拡張する技術 |
※これらはQualcommのオーディオ技術の例であり、すべてのSnapdragon Sound対応製品に一律で搭載されているわけではありません。
Snapdragon Sound対応ならaptX Losslessも使える?
Snapdragon Soundに対応しているからといって、必ずaptX Losslessを利用できるわけではありません。
Snapdragon Soundは複数の技術を組み合わせたプラットフォームであり、具体的にどの機能が利用できるかは製品の実装によって異なります。
また、スマートフォンとイヤホンの両方がaptX Losslessに対応している必要があります。
購入時には、単に「Snapdragon Sound対応」「aptX Adaptive対応」という表記だけで判断せず、メーカーの製品仕様にaptX Lossless対応と明記されているか確認しましょう。
aptX LosslessとほかのBluetoothコーデックの違い
Bluetoothオーディオには、aptX Lossless以外にもさまざまなコーデックがあります。
代表的なコーデックとの違いをまとめました。
| コーデック | 主な特徴 |
|---|---|
| SBC | Bluetoothの標準コーデック。幅広い機器で利用可能 |
| AAC | iPhoneなどで広く採用されている高音質コーデック |
| aptX | 標準的なaptXコーデック。低遅延と音質のバランスが特徴 |
| aptX HD | 最大24bitの高音質伝送に対応 |
| aptX Adaptive | 通信環境に応じてビットレートを自動調整 |
| aptX Lossless | CD品質のロスレス伝送に対応 |
| LDAC | 最大990kbpsで最大96kHz/24bitの音源伝送に対応 |
| LHDC | 高ビットレート・ハイレゾ伝送を目指したコーデック |
| LC3 | Bluetooth LE Audioで採用される高効率コーデック |
※各コーデックの対応ビットレートや伝送品質は、機器の実装や接続条件によって異なります。また、ハイレゾ対応とロスレス対応は同じ意味ではありません。
aptX Losslessの大きな特徴は、単に高いビットレートで伝送するだけでなく、対応条件が整えば元の音源データをビット単位で維持できることです。
aptX Losslessのメリット・デメリット
メリット
- Bluetooth接続でもCD品質のロスレス伝送が可能
- 有線接続に頼らず高品質な音楽再生を楽しめる
- 電波環境に応じて伝送品質を自動調整できる
- aptX Adaptiveを基盤とした柔軟な通信方式を採用
- 対応機器同士を組み合わせることで高品質なワイヤレス再生を実現できる
デメリット
- 送信側と受信側の両方が対応している必要がある
- aptX Adaptive対応だけでは利用できない場合がある
- Snapdragon Sound対応機器でも利用できない場合がある
- 電波環境によってはロスレス伝送が維持されない
- 対応製品の選択肢が一般的なAACやSBC対応製品より限られる
aptX Lossless対応製品を選ぶ際の注意点
aptX Losslessを利用したい場合は、スマートフォンとイヤホン・ヘッドホンの対応状況をセットで確認することが重要です。
特に注意したいのが、次の3つです。
1. aptX AdaptiveとaptX Losslessを区別する
aptX Adaptiveは可変ビットレートによる高音質・低遅延伝送を実現する技術ですが、すべてのaptX Adaptive対応製品がロスレス伝送に対応しているわけではありません。
2. Snapdragon Soundの対応内容を確認する
Snapdragon Sound対応製品でも、aptX Losslessに対応しているとは限りません。メーカーの公式仕様やQualcommの対応製品情報を確認しましょう。
3. 実際にロスレス接続できているか確認する
対応製品同士でも、通信環境や設定、再生アプリなどによってロスレス伝送にならない場合があります。
可能であれば、メーカー提供のアプリや接続情報から、現在使用しているコーデックを確認しましょう。
まとめ
aptX Losslessは、Bluetooth接続でCD品質の音源をビット単位で一致させて伝送できる、Qualcommの高音質オーディオ技術です。
aptX Adaptiveを基盤としており、通信環境に応じて伝送品質を自動調整することで、音質と接続安定性の両立を目指しています。
ただし、利用するにはスマートフォンとイヤホン・ヘッドホンの両方がaptX Losslessに対応している必要があります。
また、Snapdragon SoundやaptX Adaptiveへの対応だけでは、aptX Losslessを利用できるとは限りません。
Bluetooth接続でもCD品質のロスレス音源を楽しみたい場合は、対応機器を組み合わせて導入を検討してみましょう。
aptX lossless対応ワイヤレスイヤホン
Sennheiser MOMENTUM True Wireless 5
ゼンハイザー独自のTrueResponseドライバーを搭載し、aptX LosslessやDolby Atmos、ヘッドトラッキングに対応した高音質完全ワイヤレスイヤホン。進化したANC、最大40時間再生、交換可能なバッテリー、AI通話ノイズ低減など、音質・機能性・長期使用を追求したモデルです。
Bowers & Wilkins Pi8
12mmカーボンコーンドライバーを搭載し、aptX LosslessやaptX Adaptiveに対応した高音質完全ワイヤレスイヤホン。高性能ANCやマルチポイントに加え、Bluetooth非対応機器の音声を送信できるトランスミッター機能付き充電ケースも特徴です。
SOUNDPEATS Air6 Pro
11mm複合振動板ドライバーと独自チューニング技術を採用した高音質完全ワイヤレスイヤホン。LDACやaptX Lossless、最大58dBのANC、Dolby Audioに対応し、最大52時間再生やワイヤレス充電など、音質と機能性を両立したモデルです。
EarFun Air Pro 4+
10mmダイナミックドライバーとBAドライバーを組み合わせたハイブリッド構成の完全ワイヤレスイヤホン。LDACやaptX Lossless、最大50dBのAI適応型ANC、Auracastに対応し、最大54時間再生やマルチポイントなど充実した機能を備えています。
aptX lossless対応ワイヤレスヘッドホン
Bowers & Wilkins Px8 S2
40mmカーボンコーンドライバーを刷新し、ブランド史上最高水準の高音質を追求したワイヤレスヘッドホン。aptX LosslessやaptX Adaptive、USB-DAC機能に対応し、高性能ANCやナッパレザーを採用した上質なデザインも特徴です。
Sennheiser MOMENTUM 5 Wireless
42mmドライバーを搭載し、aptX LosslessやDolby Atmos空間オーディオに対応した高音質ワイヤレスヘッドホン。ゼンハイザー史上最強のハイブリッドANC、最大57時間再生、交換可能なバッテリーを備え、音質・機能性・長期使用を追求したモデルです。
EarFun Wave Pro X
40mm DLC振動板と10mm LCP振動板を採用した同軸デュアルドライバー搭載のワイヤレスヘッドホン。aptX LosslessやLDAC、ハイレゾに対応し、最大90時間再生、強力なANC、3WAY接続やプロ仕様PEQなど充実した機能が特徴です。
aptX lossless対応スマートフォン
Xiaomi 17 Ultra
ライカ監修の2億画素大型センサーと75~100mmの可変式光学ズームを搭載した高性能スマートフォン。最大400mm相当の望遠撮影やLOFIC HDRに対応し、Snapdragon 8 Elite Gen 5と6.9インチ高輝度ディスプレイも備えています。
Sony Xperia 1 VIII
AIカメラアシスタントと大型化した望遠センサーを搭載し、撮影性能を強化したソニーのフラッグシップスマートフォン。α譲りのカメラ技術や高音質・高画質設計に加え、最新CPU、5000mAhバッテリー、長期アップデートにも対応しています。
Motorola motorola razr fold
8.1インチの2Kメインディスプレイと6.6インチの外側ディスプレイを搭載した横開き型フォルダブルスマートフォン。高性能カメラや6000mAhバッテリー、80W急速充電、GeminiなどのAI機能に対応し、大画面と実用性を両立しています。
aptX lossless非対応の端末を対応させる裏技
aptX losslessに対応した端末はまだ数が少なく、選択肢が限られていると同時に、それだけの為にスマホを買い替えるはちょっと…と言う人も多いはず。
しかし、今使っている非対応端末でもaptX losslessを使えるようになる場合がある理想的なアイテムが登場しました↓
USB-C小型トランスミッターになります。
このトランスミッターをデバイスのUSB-Cポートに挿し込み、専用アプリで簡単な設定をすることで、
このトランスミッターを経由してaptX losslessやLDACなどの高音質コーデックを利用できるようになります。USB-Cポート搭載のデバイス限定ですが、スマホを買い替える事無く高音質コーデックを利用できるようになる優れ物です。(全てのデバイスで完全に動作するとは限らないので製品の対応環境を必ず確認しましょう。)


