概要
今回は新進気鋭のオーディオブランド『TimeEar』から製品のレビュー依頼をいただき、現在展開している複数の製品をレビューしていきます。
動画版はこちら↓
提供:TimeEar
TimeEarとは
2012年にAtheros製品の開発からスタートし、2014年にはQualcommと正式に提携してネットワーク関連製品の開発を認可されました。独自のハードウェア設計力と、OPENWRTベースのソフトウェア開発力を備えています。
これまでの主な実績は以下のとおりです:
- 2014年:ビジネス向けWi-Fiルーターやクラウドプラットフォームを開発。WeChatと提携し、Wi-Fiサービスの提供を開始。
- 2015〜2017年:WeChat用Bluetoothビーコンの開発、Facebook Wi-Fiのグローバル販売を開始。
- 2018年:Tencent Gamesと共同でゲーム向け「WiFi+Bluetooth」加速器を開発し、KPLやPUBG国際大会で採用。
- 2019年:BluetoothヘッドセットとTWSイヤホンを発売。
- 2020年:自社ブランドを設立。
- 2023年以降:ポータブルBluetooth/USBアンプやイヤホンなど、10機種以上の自社製品を中国市場で展開し、高い評価を獲得。
OEMメーカーとしても、Dell Alienwareなどの国際ブランド向け製品を手がけてきた実績があり、BluetoothソリューションやHiFi製品の提供も行ってきました。また、独自のドライバー・振動板開発チームを持ち、最新素材を使った音響技術の研究・製品化にも力を入れています。
2020年以前は業界最大手クラスのゲーム企業『Tencent Games』やDellが展開するハイエンドゲーミングPCブランド『Alienware』等のOEMメーカーとして製造・開発を担っていましたが、2020年に自社ブランドとして「TimeEar」を設立し、2023年以降は中国市場でポータブルBluetooth/USBアンプやイヤホンなど10機種以上を展開しました。これからは日本市場を含め海外展開を視野に入れているそうで、今回レビュー依頼をいただきました。
BTE-8
※記事制作時点では技適認証中との事でしたので総務省の『技適未取得機器を用いた実験等の特例制度』へ届け出を出し、期間内のみ動作テストしています。

主な特徴
- デュアルCS43131デコードチップ搭載小型Bluetoothデコーダーアンプ
- 4.4mm+3.5mmデュアル出力端子
- 220mW@32Ω出力
- Qualcomm QCC5125(LDAC/aptX HD対応)
- 800mAh大容量バッテリー(14.5時間駆動)
- NFC認識ペアリング
- ハイ/ローゲインモード切替
- Qualcomm CVC8.0ノイズキャンセリング搭載デュアルマイク
- PCM 48kHzロスレス録音対応
- アルミCNC筐体+鏡面コーティングガラス
内容物
- 本体
外観と各部の名称
- 前面ガラス下:NFC認識エリアとロゴのインジケーターライト
- 左側:音量上下ボタン、操作ボタン
- 右側:ゲイン切替スイッチ(高・低)
- 上部:2つのオーディオ出力端子(4.4mmなど)
- 底部:USB-C充電ポート(5V安全充電対応)
電源操作
- 電源オン:操作ボタンを3秒長押し
- 電源オフ:電源オンの状態で操作ボタンを5秒長押し
- Bluetoothペアリング:起動後、スマホのBluetooth設定で「BT8」を選択して接続
接続と対応機能
- LDAC高音質コーデック対応
- Android端末はNFCによる高速ペアリングに対応(詳細はBT222の動画参照)
- スマホとBT8の音量は独立して調整可能(30段階)
- 音量調整は急激な連打を避け、間隔を空けて行うのが推奨
音楽操作とその他の操作
- 音量アップ長押し:次の曲
- 音量ダウン長押し:前の曲
- 操作ボタン短押し:再生/一時停止
- 操作ボタン2回押し(音楽停止時):音声アシスタント起動(機種により設定が必要)
- 音量上下ボタンを同時長押し:ペアリング情報を初期化(その後自動で電源オフ)
- 再接続の際は、旧接続情報をスマホ側で削除しておくと確実
マイク・通話性能
- 高感度全指向性マイクを本体上部と側面に搭載
- 最大48kHzのPCM録音、Qualcomm CVC 8.0ノイズリダクション対応
USBオーディオモード
- USB有線モードにも対応(Bluetooth未接続かつ電源オン時のみ)
- 内蔵バッテリーはUSBモードでの電源供給には関与しない
- USB接続でもマイクや一部のボタン操作が使用可能(専用機能は非対応)


本体は、CNC加工されたアルミニウム合金シャーシに指紋防止ガラスパネルを採用。手に取った瞬間に感じる重厚感と高級感が、所有欲を満たしてくれます。


左側面に電源ボタン、ボリュームボタン。右側面にゲインスイッチとマイクを搭載。
32段階の音量調整と独立したゲイン切り替えスイッチで、細やかな音質コントロールも可能です。

上部には3.5mm/4.4mmデュアル出力端子とマイク搭載。
また、4.4mmバランス出力は最大220mWと高出力で、インピーダンスの高いヘッドホンもしっかり駆動可能。
BTE-8の最大の魅力は、CS43131 DACを左右に独立して2基搭載した本格オーディオ設計です。加えて、各チャンネルに独立した水晶発振器を採用することで、クロストークを最小限に抑え、自然で繊細な音の表現を実現しているそう。
BluetoothチップにはQualcomm QCC5125を採用し、LDACやAptX Adaptive、AptX HDなど、ハイレゾ相当のコーデックに幅広く対応。さらに、独自開発のFPCアンテナ+IPEXインターフェースにより、安定した通信が可能です。また、NFCペアリングに対応し、NFCに対応した端末ではよりシームレスな接続が可能。
大容量800mAhのバッテリーを内蔵し、最大14.5時間の連続再生が可能。スタンバイ時には500時間を超える待機時間も魅力的です。
BTE-8はBluetoothだけでなく、USB接続によるDAC&ヘッドフォンアンプとしても使用可能。ドライバレスでPCやスマホに接続でき、さらにマイクも活用できるため、ゲーミングサウンドカードとしても機能します。
使用した感想
大きすぎず、小さすぎない絶妙なサイズ感で非常に手への収まりが良いです。
左側面のボタンも握った時に丁度人差し指、中指に来る位置で操作感も良好。
強いて言えばゲインスイッチが握った時に親指でやや操作しづらい位置なのが惜しいですが、ボリュームと違ってそんなにいじらないのであまり気になりません。
NFCペアリングに対応しており、NFC対応端末であればかざすだけで接続できるシームレスさも便利です。
有線接続も可能で、ポータブルUSBDACアンプとしても使用できます。
バッテリーを内蔵しているので、接続デバイスの充電を消費せずに使用できる点も優秀です。
音は味付けするタイプでは無く、原音に忠実かつ自然でスッキリとしたサウンド傾向です。
総じて非常に癖が無く扱いやすいBluetoothレシーバー兼ポータブルUSBDACアンプだと思います。
有線派、音質重視で楽しみたいけど自由度も確保したい、という人にかなりおすすめです。
NFC対応端末なら接続も一瞬でかなりストレスフリーです。

TEU-8

主な特徴
- ESS9028Q2Mデコードチップ+デュアルESS9603アンプチップ
- 4.4mm+3.5mmデュアル出力端子
- 155mW@32Ω出力
- 60段階独立音量調節
- アルミCNC筐体+鏡面コーティングガラス
内容物
- 本体
- OFCケーブル


CNC加工による航空グレードのアルミシャーシに、指紋防止コーティングのガラスパネルを組み合わせた高級感ある外観。写真の通り非常にコンパクトで、約20gと超軽量。


このコンパクトさながら出力端子は4.4mmバランス(155mW@32Ω)と3.5mmシングルエンド(70mW@32Ω)の両方を備えており、幅広い機器との互換性があります。
また、60段階の独立ハードウェアボリュームを採用しているのもポイント。スマホやPCの音量制御では難しい微調整ができ、曲ごとの音量差にも柔軟に対応できます。
オーディオ性能も非常に優秀。SNR 123dB、THD 0.0009%以下と、ポータブル機とは思えない静寂とクリアな再生が魅力。PCMは最大32bit/384kHz、DSDも256までハードウェアデコードに対応。高音質ファイルを余すところなく再現します。
USB-C接続で、Mac / Windows / Android / iOS / Linux など様々なデバイスとドライバー不要で接続可能。付属の銀メッキOFCケーブルも質感が良く、交換も容易。デバイスに合わせて柔軟に使い回せるのがうれしいところです。
使用した感想
かなりの薄型・軽量仕様なので携帯性に優れていて、アルミシャーシの質感も良いです。
操作は非常にシンプルでボリュームを上下するだけなので扱いやすく、60段階の独立ハードウェアボリュームにより微調整が可能なので自分が一番しっくりくるベストなボリュームに調整できる点も良いです。オーディオ性能も素晴らしく、ノイズは全く感じずとてもクリアです。こちらも味付けというより、原音に忠実で自然なスッキリサウンドです。
このコンパクトさで4.4mmバランスも搭載していてこのオーディオ性能でこの価格はかなり凄いコスパだと思います。

TEA-99

主な特徴
- アジア人向け小型平頭耳栓(直径14.2mmドライバー/15.5mm筐体)
- 44Ω日本製大黒純銅ボイスコイル
- TimeEar独自開発振動板
- 付属のスポンジイヤパッド使用推奨
内容物
- イヤホン本体
- スポンジイヤーパッド(4組)

イントラコンカ型、リケーブル非対応の有線イヤホン。
アルミ合金製と思われる小型で軽量な筐体は質感が良く、螺旋状のデザインがオシャレ。
凹凸の少ないシームレスなデザイン。
TimeEar がカスタマイズしたダイヤフラムと日本製純銅ボイスコイルが組み込まれた14.2mmのダイナミックドライバーを搭載しているそう。

プラグは4.4mmバランス。現状4.4mmだけのようです。筐体と同じ螺旋状デザインのプラグスリーブも統一感があって良いですね。

重さは約21.7gと軽量。


筐体はイヤーパッドを着けないで装着すると耳甲介よりひと回り小さいぐらいで圧迫感は全く無く引っ掛けているだけというような感じで筐体はほぼ凹凸の無いシームレスな形状なので着用時の不快感も無く装着感はとても良いです。イヤーパッドを着けると接触面積が増えフィットします。因みにブランドは付属のスポンジイヤーパッドを着ける事を推奨しています。
そのものの音質傾向としてはキラキラ系高解像度サウンドで、高域がとても緻密で伸びも良く美しいです。音圧を確保するのが難しいイントラコンカ型ながら中音域の厚みもあり、イントラコンカ型という事を忘れるぐらい聴き応えがあります。そのままだと耳甲介との間に空間がある為低域はやや弱めですが、スポンジイヤーパッドを着ける事で低域が増強され、ややシャープで刺さり気味な中高音域の輪郭を少しまろやかにしてくれて丁度良くなります。好み次第ではありますが、個人的にもイヤーパッド装着がおすすめです。
DAPやUSBDACアンプで気軽に開放感ある高解像度サウンドを楽しみたい、という人におすすめです。
価格を見返して改めて思うのですがこのクオリティで通常価格約6000円なんだ…という驚きがあります。

繁花

主な特徴
- インナーイヤー型ダイナミックドライバーイヤホン
- 第2世代スパッタリンググラフェン振動板
- 10mmドライバー+32Ω日本製大黒純銅ボイスコイル
- 3Dプリント筐体+アルミニウムカバー(カーボンファイバー&24K金箔加工)
- 懐かしい低音表現
内容物
- イヤホン本体
- イヤホンケーブル
- イヤーピース(装着済み含め6組)

本体はIEM型デザインでCNCアルミ合金カバーにカーボンファイバーと金箔をあしらったフェイスプレートが上品でかっこいいです。フェイスプレートはひとつとして同じものがない仕様だそう。
IEMとしはやや小ぶりな印象を受けます。
ドライバーには日本製ダイコク純銅のボイスコイルと、第2世代の磁気スパッタリング・グラフェンダイヤフラムを採用しているそう。


内側シェルは樹脂製。コネクタは0.78mm2pinで、接続面は筐体とフラットな仕様なのでほぼ全ての他社製2PINケーブルとも互換性があります。ノズル直径は約5mm。


TEA-99と同型の螺旋状デザインが施されたプラグスリーブを採用。
他製品にも多数このデザインが採用されている事からこの螺旋デザインがブランドアイデンティティなのかもしれません。
ケーブルは現状4.4mmバランスケーブルのみで、本体のみのケーブル無しバージョンも販売されています。


本体片側約4.1g。ケーブル込みでも24.6gと軽量。


装着するとこんな感じ。
非常に軽量で軽やかな装着感。筐体が小ぶりなので、筐体で支えるというよりはイヤーピースで支えるような装着感。
音質傾向としてはしっかりとした低音の量感と中高域の抜け感がバランスよく整っていて、やや暖かみを感じるサウンドです。解像感とスピード感のバランスが非常に良好で、細かな音も埋もれずにしっかり拾ってくれる感じがあります。
ポップスやボーカルものを気持ちよく楽しめる“聴かせるIEM”という感じでした。見た目重視の人にも、音質にこだわる人にも刺さる1本だと思います。

一通り使ってみての総評
今回Bluetoothレシーバー、ポータブルUSBDACアンプ、イントラコンカ型イヤホン、IEMと一通りTimeEar製品を使用してみて感じたのは、”シンプルかつ高水準”という印象でした。
デザインはどれも全ての無駄を省いたような洗練された扱いやすいシンプルなデザインで、本当に欲しいスペックや機能だけ集約しているなというイメージです。独自の音響開発チームを持っているので音響スペック面も高品質で、デザインや音の方向性に統一感があります。
ベースがワイヤレス関連製品を開発していたブランドなので接続性周りも優れていて、デザイン、音、使い勝手まで高水準でまとまっており弱点といえる弱点が無い良いブランドだな、というのが率直な感想です。強いて言うならこれから海外展開を精力的に行っていきたい、という段階らしいので現状公式サイトかAliExpress公式ストアぐらいしか入手経路が無い点でしょうか。Amazonや楽天から公式ストアや代理店経由で入手できるようになれば一気に広まりそうだな。という印象です。